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エビデンス入門(9)臨床試験に関する倫理委員会

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科
講師 竹田 竜嗣 氏

 前回までは、臨床試験の計画に必要な統計的有意差や例数設計などについて説明した。今回は、計画が出来上がり、臨床試験を行うために計画書を審査する倫理委員会の役割や構成について解説する。

 臨床試験は、実際にヒトに食品を摂取させることから、食経験があり、安全であったとしても、方法や内容について人権や倫理に十分配慮して実施する必要がある。戦前はこのような人権や倫理を無視し、囚人や捕虜に研究段階の薬剤などを使う人体実験が密かに行われていた時代もあったが、現在はそのような行為は決して許されない。

 臨床試験を行う上での人権への配慮や被験者の意思確認、参加や離脱の自由などについては、「ヘルシンキ宣言 人間を対象とする医学研究の倫理的原則」などにも明記されている。また、機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)などの医薬品でない、または医薬品的な効能効果をうたわない食品の臨床試験については、日本国内では一般的に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従って実施することが多い。

 これらの指針などに従って、臨床試験の計画について、試験の妥当性や人権保護、倫理的配慮などが十分に行われているかどうかを「倫理委員会」や「IRB」と呼ばれる組織で審査する。通常、試験を実施する医療機関で組織されている倫理委員会で行うか、医療機関内に倫理委員会が設置されていないときは、外部の医療機関に審査を依頼する。

 倫理委員会では、試験計画書だけでなく、同意説明文書も通常提出し、試験計画についてさまざまな議論が行われる。倫理委員会の構成要因としては、医学系の専門家(医師、看護師、薬剤師など)、法律系の専門家(弁護士など)、一般の意見を述べる者(専門的知識を持たない一般人)を含んだかたちで構成されているが、試験の種類によっては宗教家などが含まれることもある。

 臨床試験は倫理委員会で承認されないと実施することが不可能であり、試験について計画変更を求められたり、評価方法の妥当性について再検討を求められたりすることもある。また、昨今の流れとしては、倫理委員会で問われる内容に、個人情報の保護という観点が含まれることも多くなってきた。臨床試験で得られたデータは、個人情報を切り離し、被験者番号などでID化するなどして、解析者や依頼者などに提供されるが、どのようにして、個人情報とデータを連結不可能にするのか、また、個人情報を扱う機関(被験者の募集機関や試験を実行する機関)の個人情報の取り扱い体制についても問われるケースが多い。

 時代の流れではあるが、人権保護だけでなく、個人情報の保護などのデータ管理も厳しく問われている。

(つづく)

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