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ウィズコロナで通信販売はこうなる!~「STAY HOME」が招いた業界変動を徹底討議(1)

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止目的として「STAY HOME」が呼びかけられ、一時、通信販売の需要が高まった。従来のテレビやラジオ、新聞などへの広告出稿を見直す動きもある。外出自粛による売り上げの激減を受け、既存の店頭販売を補う形で通販事業に参入する動きや、飲食店による通販ビジネスへの新規参入の動きもある。通販業界の現状と課題について、通販事業者を支援する事業者による座談会を開いた。

【司会】(合同)いちる 代表 松清 将行 氏
 総合通販のセールスライター、大手印刷会社の販促ディレクター、製薬会社の通販マネージャーを経て、2015年に起業。オフラインとオンラインの両方の知見を生かし、EC・単品通販・サブスク・D2CのCRM専門のコンサルタントとして、東京や大阪、福岡、沖縄県など全国展開。スタートアップから年商50億円までの100社以上の企業を支援している。19年にECの新しいビジネスモデルを創出する通販ゼミ『DRB創造ゼミ』を立ち上げる。その他、zoom無料コンサル実施中。

【パネラー】
(株)売れるネット広告社 代表取締役社長CEO 加藤公一レオ 氏
 1975年ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。西南学院大学経済学部卒業後、三菱商事㈱に入社。その後、Havas Worldwide Tokyo、㈱アサツーディ・ケイ(ADK)にて、一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事し、担当した全てのクライアント(広告主)のネット広告を大成功させる。広告の費用対効果を改善させる通販(D2C)クラウドサービスNo.1(JMR調べ)の『売れるネット広告つくーる』を監修。

(株)E-Grant 代表取締役COO 北川 健太郎 氏
 84年2月生まれ。E-Grantの事業全般を管掌、EC通販そのほかBtoC企業向けに自社サービスのCRMツール『うちでのこづち』の活用に基づいたLTV向上・CRMマーケティング支援を行う。数千万円~数百億円まで500社以上の支援実績を持ち、EC・通販市場においてトップシェアを獲得。2015年に「一般社団法人 日本通販CRM協会」を立ち上げ、監事に就任。

(株)ネットショップ支援室 取締役 山本 皓一朗 氏
 企業のスタートアップ、200社以上のネットショップの運営代行やコンサルティング業務を経て、15年12月にネットショップ支援室の東京支社を立ち上げ、ECの受注管理システムやD2Cカートを展開。ネットショップの立ち上げ期~年商数十億円までのフェーズで発生しやすい課題を多数解決してきた経験を生かし、フロントからバックヤードまで一貫した実践的アドバイスを得意とする。19年には法人卸の受発注システム『楽楽B2B』をリリースしたことでBtoCとBtoBを横断した支援実績が増加している。

<コロナ禍で異業種・新規の参入が急増>

 松清 各社得意としている領域があると思いますが、それぞれから見た通販業界の現状はどうでしょうか。

 加藤 新規獲得の領域についてお話しします。6月中旬に、当社のクライアント(単品通販)の約200社に一斉にアンケートを送りました。8割方のクライアントが「全く影響なし」との回答で、約1割が「若干下がっている」、残りの1割は「むしろ上がっている」と回答しました。上がっている理由としては、クリック率が上がっている、アフィリエイト経由の注文が増えているというものでした。当社の売り上げも5月・6月は過去最高を記録しました。私自身が今回コロナに関して思ったのは、「巣ごもり消費でネット通販の利用者が増えているということもありますが、それはほんの一部であり、一番強かったのは、当社のクライアントの大半でもある定期通販モデルです。ストック型ビジネスのため、大きく伸びることはなくても大きく減少することもありません。つまり、ネット通販が強いのではなく、サブスクリプションモデル、つまり定期購入モデルが強いということかと思います。そこで今回、総合通販事業者からの問い合わせが増えました。「これまでの売り切りではなく、定期モデルで展開したい」という相談です。もう1つ特徴的だったのが、全くの別業界からの問い合わせです。例えばウェディング業界やレストラン、焼き肉店などです。リアルビジネスがダメになり、単品リピート通販モデルを立ち上げたいという相談が多くありました。なかには、既存のビジネスとは関係なく化粧品やサプリメントの通販を始めたいという相談もありました。そこで、全く新しいことを始めるのではなく、今やっているビジネスにおいて原価率の低いもの、例えばワインやお肉などのサブスクリプションモデルを提案しました。

 松清 単品リピート通販やサブスクリプションモデルの成長期が過去にありました。それが落ち着いてきたところに、今回コロナが発生し、再度、ECを中心とする定期通販モデルの需要が増えてきたということでしょうか。

 加藤 ただ、今回においては全くの素人、つまり異業種からの参入が起こっているということが特徴的です。そのジャンルは多岐にわたります。簡単に言えば、リアルビジネスの諦め、新業態への変換ということです。世の中の情勢に左右されるビジネスではなく、安定したビジネスを展開したいということだと思います。今回のコロナが落ち着いても、第2波・第3波もあるでしょうし、先日も九州でありましたが天災によるリスクも想定されます。そうした事態に備え、左右されにくいストック型のビジネスモデルを確立したいということだと思います。

(写真:松清将行氏)

(つづく)

【文:藤田 勇一】

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