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アフィリエイト広告検討会を総括!(3)
善良な消費者が騙されない業界を

(一社)日本アフィリエイト協議会 代表理事 笠井 北斗(かさい ほくと)氏

(一社)日本アフィリエイト協議会(JAO)は、アフィリエイト・ビジネスの健全な発展と普及、消費者利益と事業者利益の共存と成長を図る団体として、アフィリエイター・広告主・ASP・広告代理店への啓発活動を行っている。代表理事の笠井北斗氏に検討会の手応えを聞いた。

報告書の内容を評価

――アフィリエイト広告検討会への評価は?

笠井 率直な感想としては、今回の報告書の位置付けが、新たな法規制であったり、法改正をするものではなく、既存の法律を使って悪質な事業者を排除しようという点をしっかりと記載をいただいたことと、まっとうな事業者が最低限取り組むべき指針というところ、これもルール作りではなくて、あくまで事例として消費者庁がある程度指し示すよというところにとどまっている内容になった点を評価しています。我々としては、ひょっとしたら法規制、法改正もあり得るのではないかという危惧を持って臨んでいましたので、規制がかからずに、ある程度、業界の自主的な取り組みを尊重いただけるような内容になったかなというところで、少し安心をすると同時に、責任を持ってやっていかなければならないと考えています。

――貴会にとっては是とする方向に収まったと。

笠井 もちろんそうですね。総論としては各委員の方々が異論はないというところで、座長に取りまとめていただきました。これが例えば、景表法の改正とか、法律で罰則を盛り込むみたいなことになっていたら、我々としては非の方の意見を出さなければいけなかったと思うんですが、現状は新しい規制であったり、法改正であったりは不要で、まっとうな事業者に過度な不利益を与えないような報告書にまとまっておりますので、その点は評価をしています。

――ASPあるいはアフィリエイターに対する厳しい規制が見送りになりました。

笠井 広告主の責任だというのは、消費者庁が「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(2011年)ですでに明示しています。今回の検討会ではそれを広告主で知らない人がある程度いるみたいだというので、これは広告主の責任なんだよということを改めて確認するための検討会だったと思います。
消費者庁はそれをずっと言い続けていますし、我々もいろいろな勉強会で話してきました。アフィリエイトの表示の責任は景表法では広告主なので、ウェブサイトのパトロールであったり、信頼できるパートナーを増やしましょうと呼びかけたり、発足当初からずっと言い続けてきたことです。

悪質な事業者を仲介しない

――関係事業者による協議会の設置が求められています。

笠井 その取り組みをすべきだということが報告書に盛り込まれたことは、私たちとしてはありがたいと思ってます。そういったことをちゃんと報告書に盛り込んでいただいたため、協議会からもさまざまな団体に声掛けをさせていただいているところです。こういう悪質事例と、あとベストプラクティスの共有を一緒にやりましょうというところで動きやすくなっています。春以降には何らかのリリースができるのではないかと考えてます。

――具体的にどういう関わり方ができるのですか。

笠井 我々は関係省庁だけでなく、全国の消費生活センターだったり、適格消費者団体とのやりとりが非常に密な団体ですから、不正なアフィリエイトが絡むものから、そうでないものも含めて、虚偽不当なネット広告表示の情報というのが毎日寄せられるのです。
それを今までは協議会の中だけで対応し処理していたのですが、これを他の事業者団体さんであったり、広告ネットワークの事業者の方々とも、ある種ブラックリストのような形で共有させていただきたいと考えております。我々だけが極悪層を排除するのではなくて、日本のネット広告全般に携わる皆さんが悪質な事業者グループの広告は仲介しないと、こうなれば、そもそも消費者が虚偽不当な広告を目にすることもなくなりますので、間違いなく消費者利益の向上に繋がるんではないかと期待しています。

――悪質な事業者の排除につながりますね。

笠井 当協議会宛てにも多数ご意見をいただいておりますが、「なぜうちは法律を守ってちゃんと広告やってるのに、この会社は、シミが消えるとか、脂肪が溶けるとか、毛が生えるみたいな違法な宣伝をしてるんだ」という不満が業界内にはあります。まっとうにやっている人たち、正直者が馬鹿を見るような状態にも少なからずなってしまっていましたので、それを今回のこの連絡会(協議会)のようなものが立ち上がることによって、そういう悪質な事業者が広告を打とうと思っても、どこも取り次いでくれなくなるというような時代を作れると思いますから、それは日本のネット社会においての大きな進歩になるんじゃないかと期待しています。
最も重要なのは、まずは目の前にいる消費者に利益をきちんと確保すること。善良な消費者が騙されないようなアフィリエイト業界を作っていくことが最優先です。

アフィリエイター自らが「広告」表示

――指針には、アフィリエイト広告に「広告」と表示する旨が明示されます。

笠井 広告表示を行うことが不当表示の防止につながるかというと、決してそうではないと私は考えています。
とはいえ、一方でSNSも広がりをみせる社会において、昨今、ステマの問題なども報道で取り沙汰されるようになっています。消費者が何らかのかたちで見極めるための表示というものが確かにあった方がいいのではないかというふうにも考えておりました。そこで日本アフィリエイト協議会も、ガイドラインの策定を進めるなかで、広告主に義務付けるのではなく、アフィリエイターが広告発信するときにアフィリエイト広告だということをある程度分かりやすく、自分たちがアフィリエイト収入を得ている記事広告なのだということを記載する、というのは盛り込むつもりで、検討会が始まる前から準備を進めています。
そういう意味では、世の中の方向性、消費者庁や検討会の方向性、そして我々の方向性がある種、同じ方向を向いてるのかなというふうには感じてます。

――今後の抱負を。

笠井 消費者庁が景品表示法第26条に基づく指針をまとめていますが、その内容が今回の報告書の通り、ベストプラクティスをベースにしたものになるのであれば、それこそ事業者はきちんとアフィリエイトに取り組むことで、リスクも減らせて、さらに売り上げを高めやすいアフィリエイト業界が2022年以降はどんどん形になっていくと思います。まだアフィリエイトに取り組まれていない事業者の方や、過去に取り組んでいてやめてしまった方は、まさに再注力・再稼働いただくのに最適な時期です。

――ありがとうございました。

(了)
【聞き手・文:田代 宏】

<笠井氏プロフィール>
アフィリエイト歴23年。アフィリエイト業界の健全な発展のために活動。東京都表示適正化対策専門助言員を務める。第6回Webグランプリ「Web人部門」Web人特別賞受賞。「アフィリエイト広告等に関する検討会」委員。

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