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アサリの原産地表示ルール厳格化へ
食品表示基準Q&A改正 「国内産」表示には1年半以上の育成必須

 農林水産省が2月1日、熊本県産として販売されていたアサリ貝の97%が外国産だったと公表したことを重く受け止めて消費者庁は18日、アサリの産地表示適正化のための対策案を公表した。同庁と農水省は今後、消費者の食品表示への信頼を取り戻すために熊本県や警察などの関係機関との連携も強める。

 対策として、今月中に食品表示基準Q&Aの「長いところルール」を改正し、輸入したアサリの原産地は畜養の有無にかかわらず輸出国とする。ただし例外として、輸入した稚貝のアサリを1年半以上育成し、育成に関する根拠書類を保存している場合に限り、国内の育成地を原産として表示できる。
 また、国内の他地域から稚貝のアサリを導入した場合、放流している輸入アサリと区別するために稚貝のアサリの根拠資料を保存することが求められる。

 これらの対策の効果測定のため消費者庁と農水省は、改正Q&Aの施行1カ月をめどに、アサリの産地表示の状況に関する点検調査を実施。結果を公表した後も疑義事案調査を進める。
 熊本県の「純県産アサリの産地保証制度」による取り組みに対する支援も視野に入れている。

<若宮健嗣消費者及び食品安全担当大臣の定例会見におけるアサリに関する発言>
 2月1日に農林水産省が公表した「広域小売店におけるあさりの産地表示の実態に関する調査結果」会議において、漁獲量を大幅に上回る量の熊本県産アサリが販売されていることが、科学的分析の結果、農林水産省が買い上げた熊本県産アサリのほとんどが、外国産アサリが混入されている可能性が高いとされた。

 このことを受けて、本日消費者庁としては、農林水産省と共に食品表示の適正化を通じ、消費者の食品表示への信頼の確保ができるよう、アサリの産地表示適正化のための対策を公表する。
対策の内容としては、まずは消費者庁において不適切な表示を防ぐ観点から、本年度末に食品表示基準Q&Aを改正し、いわゆる「長いところルール」の適用の厳格化を行う。

 次に、農林水産省において本対策の効果を図るために、改正Q&Aの施行1カ月を目処に、アサリの産地表示の状況に関する点検調査を行い、結果を公表するとともに引き続き疑義事案の調査を進める。

 食品表示法を所管している消費者庁としては、今回のアサリの産地表示の疑義案件を受けて、どうしたら消費者の信頼を回復し、家庭でアサリを消費できるか、こういった観点から、農林水産省と連携し、アサリの生産流通の実態を把握した上で、ルールの適用のあり方を見直した。今後とも消費者の自主的かつ合理的な選択の機会を確固にする、そうした食品表示であるよう、制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えている。

【解 説】
 食品表示基準では、国産の生鮮水産物の産地について水域名か水揚げ港が所在する都道府県を表示し、養殖の場合には「主たる養殖場」が属する都道府県と定めている。「主たる養殖場」については同基準Q&A(2015年3月 最終改正21年3月17日消食表第115号)において、最も畜養機関の長いところと定めている(いわゆる「長いところルール」)。

 特に、Q&Aではアサリを特定し、「A国から輸入したアサリを、輸入後、国内の管理できる状態の海浜に再び掘り揚げる目的で仮置きした場合は、単なる保管又は出荷調整と考えられ、当該アサリの原産地は「A国」と考えます。また、国内での蓄養期間が長いことを証明できない時についても、アサリの原産地は「A国」と表示する必要があります。
 放流した輸入アサリと国産のアサリが海浜中で混在し掘り揚げた場合は、両方の産地を重量順に表示することとなりますが、仕分けが困難な場合は、漁獲区域の輸入アサリの放流量と国産アサリの漁獲量のデータを照らし合わせ重量比率を算出する方法などが考えられます。」(生鮮-32)としている。

 また、「アサリの稚貝を輸入し又は国内から移殖して繁殖させ、成貝を漁獲する場合は、輸入前又は国内の成育期間の確認については 輸入業者や国内生産者に問い合わせ、成育期間を確認する方法や、天然の場合は、稚貝から成貝になるまでのサイズ(殻幅)ごとの平均的な成育期間を参考として、最も蓄養期間が長い産地を表示することとなります。ただし、いずれの場合も、その場所での蓄養期間が長いことを証明できる必要があります。」(生鮮-33)とされていたが、畜養期間の定義がはっきりしておらず、そこにつけ込んだ不正が横行していた。
 今回の対策案では、「畜養」の定義を明確にし、国産と表示することのできる育成(養殖)期間を1年半以上、なおかつ育成に関する根拠資料を有する必要があるとし、ルールの厳格化を図った。

【田代 宏】

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