1. HOME
  2. メディカル
  3. 「子どもの脳と心の発育」テーマにアマニフォーラムセミナー開催

「子どもの脳と心の発育」テーマにアマニフォーラムセミナー開催

日本製粉(株)(東京都千代田区)は24日、「第8回アマニフォーラムセミナー」を都内で開催した。「子どもの脳と心の発育 脂質との関係」をテーマに、医療法人社団西船内科院長の篠宮正樹氏と理化学研究所脳神経科学研究センター分子精神遺伝研究チームリーダーの吉川武男氏らによる講演が行われ、70人を超える関係者が参加した。

 篠宮氏は、内科医師として生活習慣病を診察するなかで、糖尿病や肥満の患者に若年層が多いことに気付き、その要因の1つが自尊感情の低下のためではないかと指摘した。現代は人を大切にし、自分を大切にする自尊感情が育ちにくくなっているとし、「自分の体を大切に思わなければ病気を予防しようという気持ちにならない」と述べた。

 日本とスウェーデンの中学生を対象とした心身健康調査で、「家族が自分の努力を理解してくれる」、「自分は幸せである」という質問に対する肯定的な回答は、日本はスウェーデンの約半分にすぎなかったことを紹介。また、2008年と10年に千葉県内の小中学校で行った早寝、早起き、朝食に関するアンケートの結果では、3つ全てを実施できている子ほど、学校に行くのが楽しい、自分に良いところがあるという自己肯定、自尊感情が良好だったという。「良好な生活習慣が自尊感情を高めることに関連し、困難な状況にもかかわらず、うまく適応できる能力を培うためには自尊心が大切」と強調した。

 吉川氏は、栄養と脳の発達、精神疾患の関連について述べた。1944~45年の第2次大戦の終戦間際にオランダで起こった冬の大飢饉時のカロリー摂取量と統合失調症の発生率について調べたデータを紹介。戦局の悪化とともに、摂取カロリーが1,800kcalから次第に減り、終戦時には400~800kcalにまで落ち込んでいた時期に妊娠初期だった母親たちから生まれた子供が成長したとき、統合失調症の発生率が約2倍になったことから、胎児期の栄養欠乏と統合失調症の関連が示唆されたと説明した。

 さらに、必須脂肪酸の不足が問題と指摘し、DHA(ドコサヘキサエン酸)とAA(アラキドン酸)を餌に使ったマウス実験を行った結果、DHAとAAが欠乏した餌を食べたマウスから生まれた子マウスが成体となったとき、統合失調症の前駆状態に模倣している意欲低下、抑うつ状態などがみられたと話した。

 吉川氏は「特定の時期の極端な栄養不足は将来の精神疾患のリスクを上昇させる。動物実験では、脳の発達時に必須脂肪酸のDHAとAAが不足すると、成体になってから精神機能の変調をきたした。母乳の影響も見られ、脂肪酸含有量と組成の違いが重要である可能性が得られた。ただ、栄養学の問題は複雑なため、今後詳細な検討が必要」と語った。

【宇山 公子】

(冒頭の写真:70人を超える関係者が参加)

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ