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「まずは中間層から」(中川座長)~第1回アフィリエイト広告検討会

 消費者庁は10日、インターネット通販で問題化している「アフィリエイト広告」のあり方に関する検討会をオンラインで開催した。法曹界、業界団体、消費者団体などから11人の有識者を迎え、アフィリエイト広告の適正化とアフィリエイト広告に係る悪質な事業者の排除に向けた取り組みについて議論、年内をめどに一定の結論を出す。

 アフィリエイト広告とは、ASP(Affiliate Service Provider)と呼ばれる仲介者が、広告主(販売事業者)とアフィリエイター(媒体主)を結び付けて広告を掲載する仕組み。ASPが提示する広告の中からアフィリエイターは適した広告を選択して自分のブログやウェブサイトに掲載してリンクを貼り、広告主の商品などを紹介する。それに対して広告主は、商品の購入や資料請求などアフィリエイトサイトを通じて発生した一定の成果に対して報酬を支払うというもの。
 一口にアフィリエイト広告といってもさまざまな形態があるとされ、これまでは悪質なアフィリエイト広告をめぐる責任の所在もあいまいな部分が多かった。検討会を通じて、関連法規の範囲で問うことのできる責任の所在についても明らかにする意向で、現行法で問うことのできない責任については検討会で有効な手段を考えていく。

 消費者庁は今年3月1日、虚偽・誇大なアフィリエイト広告に対して消費者安全法に基づく注意喚起を行っている。アフィリエイト広告に対しての注意喚起は初めてのことだったが、これは広告主が商品に関するアフィリエイト広告の表示内容の決定に関与していたことが明らかだったから。また消費者庁は3月3日、アフィリエイトサイトに対して初となる措置命令を下したが、こちらも同じ理由による。

 消費者庁は、アフィリエイト広告という手法を用いるかぎり、アフィリエイト広告の不当表示について「広告費を負担する広告主の責任は免れない」としながらも、そのことが関係者間で十分に認識された上で表示内容の管理が行われているかは疑問としている。
 検討会では、アフィリエイト広告上の表示内容に対する最終的な責任は広告主が負うとの前提で、広告主による不当表示の未然防止に向けた対策のあり方をさまざまな角度から検討する。

 今回の検討会では、消費者庁の示した論点について、各方面で問題意識を抱える委員の所見を求めた。フリーディスカッションの最後に中川丈久座長は、事業者を「極悪層」、「中間層」、「善良層」の3つのランクに分類。何をやっても法令違反をする極悪層と、「極めて真面目に法令順守を励行している善良層があり、その間でふらふらしている中間層がほとんど。そのような状態に対してどのように法執行を行っていくのか」とし、まずは中間層の事業者を善良層に近づけることが先決ではないかと話した。極悪層に対する対処はその後で、善良層に対する規制を考える心配はないと述べた。
 
 事務局からも委員から出された意見に対して、「アフィリエイト広告全体が悪いのではなく、悪質なアフィリエイターを排除する仕組みを作ることが重要」との見解が示された。また、「景表法の規制範囲を拡大あるいは規制強化するというときは、EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)の観点から、具体的・合理的なファクトに基づく議論をお願いしたい。明確な立法事実に基づいて議論してほしい。そのときはできるだけ多くの利害関係者から意見を聴取してほしい」との事業者側に立つ委員からの意見に対して事務局は、そうなった場合はそのように対応すると述べた。ただし、この検討会で法改正まで話が進むかどうか、進んだとしてその後の審議などを経て法改正に至るかどうかについては今のところ不明で仮定の話に過ぎない。
 別の委員からは、中間層について議論するという検討会の立場は受け入れながらも、「景品表示法は優良誤認・有利誤認に対する処分。健全な事業者でもそれらの要件に該当する場合はある」との意見も出た。一方、悪質な事業者を問題にするという検討会の立場があまり明確になり過ぎると、逆にバイアスのかかった景表法になる可能性があるとの懸念も示された。

 次回以降、本格的な議論が重ねられる。第2回・3回は関係者のヒアリング、4回以降、論点整理に入る。

【田代 宏】

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