β-カリオフィレンのAPI’s CF用意 アピ、CBD代替製品のコンセプトを見える化
黒コショウやホップなどの植物に含まれ、CBD(カンナビジオール)に似た機能性を持つと言われるセスキテルペン化合物(精油成分)の一種、β-カリオフィレンに着目した最終製品開発および販売提案を、サプリメント・健康食品受託開発・製造で国内最大手のアピ㈱(岐阜県岐阜市、野々垣孝彦社長)が先月から始めた。
独自の顧客向け製品開発(処方設計)サービス「API’s CF」(CF=コンセプトフォーミュレーション)を活用しながら提案を進めているもので、β-カリオフィレンに報告されている機能性と、顧客の要望の双方を踏まえながら最適化した製品の開発を受託し、製造も請け負う。
β-カリオフィレンは、大麻草由来CBDに類似の機能を持つとされる。CBDは、生体内のカンナビノイド受容体のうち、Ⅱ型の受容体を活性化させることで、抗炎症機能を始めとするさまざま機能を発現すると考えられている。β-カリオフィレンも、CBDと同様に、Ⅱ型カンナビノイド受容体を活性化させる働きがあるといわれる。
実際、同社によれば、CBDについてマウス試験で確認された関節炎の軽減機能が、β-カリオフィレンにおいても同様にマウス試験で示唆されている。他にも、CBDに類似の機能がβ-カリオフィレンにあることを示唆する文献が複数存在するといい、同社では「CBDと同じメカニズムで働き、CBDと同様の機能性を示すと考えられる」とする。
〝成分ベース〟API’s CFの第2弾
API’s CFは、顧客が求める製品コンセプトに応じるかたちで、配合成分・素材の選定から製剤設計までの製品開発(処方設計)を、フルパッケージで顧客に提供する独自サービス。とかく難解になりがちな、素材や成分の機能性や作用メカニズムなどといった科学的な情報を、イラストなどを多用しながら分かりやすく見える化、体系化した上で、顧客の要望に則した製品開発をスピーディに進めることなどを目的に開発した。2020年からサービス提供を始めていた。
サービス導入当初は、主に顧客が求める訴求機能に基づき、API’s CFを活用した製品設計を行っていたが、今年に入り、特定の機能性成分・素材を土台にしたAPI’s CFも新たに手掛けるようになった。今回のβ-カリオフィレンに関する提案も、その枠組みで進めているもので、機能性成分を基盤にしたAPI’s CFとしては、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)に続く第2弾となる。
ゲームやスマホに対応する製品設計も用意
今回のβ-カリオフィレンに関するAPI’s CFについて同社では、大麻草由来CBDの代替となる成分を配合した最終製品を開発、販売したい事業者に活用してもらいたい考え。CBDに対する関心が日本でも高まっている中で、「(大麻取締法で規制される成分)THC(テトラヒドロカンナビノール)の検出リスクがネックとなり、CBD製品の取り扱いをためらう販売会社は少なくないと思われる」(新規戦略企画課)ためだ。
CBDの機能については、アルコールなどに対する依存を軽減させるとする動物試験の結果が報告されており、β-カリオフィレンについても同様の機能を持つ可能性が示唆されている。この知見を踏まえて同社では、「今回のAPI’s CFでは、エビデンスに基づき、ゲームやスマホへなどへの依存を防ぐことをコンセプトにした製品開発も提案できるようにした」(同)という。
【石川 太郎】
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