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ネオキシンE明治事件(1) 【4回連載】健康食品広告・表示の「判例」解説

堤半蔵門法律事務所 弁護士 堤 世浩 氏

<第一審、「医薬品」に該当すると判断>

今回は、高純度に濃縮された植物油が、医薬品に該当すると判断された裁判例を紹介する。この裁判では、販売等会社のXが販売する『ネオキシンE明治』という名称の高純度濃縮植物油が、「医薬品」(旧薬事法第2条1項2号)に該当するかどうかが争点となった。もし、「医薬品」に該当すれば、未承認医薬品の無許可販売等で旧薬事法(現・医薬品医療機器等法)違反となる。

第一審の判決のポイントを見ていく。まず、第一審では医薬品該当性を否定する要件として、以下の点を挙げた。

・『ネオキシンE明治』の成分は小麦麦芽油や大豆油などから成り、天然ビタミンEを含有する高純度濃縮植物油であり、通常の食生活において食品の範囲にあると認められる。

・化粧箱や能書などには、「ビタミンEを多く含有する健康維持食品である」などの記載がある。

そうした医薬品該当性を否定する要件を挙げながらも、他方で、効能、用法、販売方法、販売する際の演述などの観点から、以下のように認定した。

・能書中には「過酸化脂質は、動脈硬化、血栓症肝疾患その他多くの疾患とかかわりを持っており、ビタミンEの摂取によって、過酸化脂質ができるのを防止でき、1日1ないし4粒を水又は湯でとること」など、通常の食品の摂取とは異なり、医薬品を暗示するような効能や用法の記載がある。

・販売員向けに作成された小冊子には、ビタミンEの効果として「脳卒中になりにくい」、「リューマチになりにくい」など間接的とは言え、明らかに『ネオキシンE明治』には上記疾病などの予防に効果があるという医薬品的効能効果を標ぼうしているものと認められる。

これらを踏まえて第一審では、通常人の理解において「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」と認められ、『ネオキシンE明治』は「医薬品」に当たると結論づけた。次回からは、控訴審の動きを見ていく。

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