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広がる、植物由来の機能性関与成分 ニップン、肌の健康から「モヤモヤ」緩和まで

 食品製造販売大手の㈱ニップン(東京都千代田区、前鶴俊哉社長)が手がけるヘルスケア事業。その中で研究開発や販売などを展開する、機能性表示食品向けの植物由来素材(原材料)が充実しつつある。臨床試験を実施して機能性に関する科学的根拠を得て、最終製品で健康機能を表示できるようにした素材が現在までに4つ。直近では、西洋ハーブのローズマリーに含まれる複数の成分について、一時的な精神的ストレスに対する機能を表示できるようにした。

 「日常生活における一時的なモヤモヤとした心情を緩和する機能が報告されています」。ニップンが今年9月に届出を行い、先ごろ公開された機能性表示食品のサプリメントのヘルスクレームの一部だ。それが報告されている機能性関与成分は、ロスマリン酸をはじめカルノシン酸及びカルノソールの3つで、いずれも同社が開発したローズマリー抽出粉末(ローズマリーエキス)に含まれる成分(規格成分)。「モヤモヤとした心情を緩和するという表示に興味が持たれている」(ヘルスケア事業部)という。

 西洋ハーブのローズマリーから得られるロスマリン酸が機能性関与成分として届け出されたことは、これまでもあった。だが、それだけでなくカルノシン酸とカルノソールも機能性関与成分とする届出はニップンが初めて。また、日常生活における一時的な精神的ストレスに対する働きを訴求する届出はこれまでに500件近くある中で、「モヤモヤとした心情を緩和する」という機能性表示は従来にないものだった。

筋肉・筋力ケアのマスリン酸、プロテイン等に配合できる新製品

 この届出は公開されたばかり。そのため、最終製品販売会社などに対する届出サポートを本格的に行うのはしばらく先になる。

 その準備が終わるまでの間、同サポートに最大限の力を注ぐのは「マスリン酸」だ。日常的な運動と併用することで、加齢とともに低下する筋肉量と筋力(握る力)を維持する働きのあることが分かっている。

 トリテルペンの一種である同成分も、植物由来の機能性関与成分。オリーブの実に含まれる成分だ。ニップンは、同成分を30%以上含むオリーブ抽出物を開発。先ごろ、水分散性を高めた製品(クリアマスリン)を新たに開発、発売し、粉末飲料やプロテイン、ゼリーなどといった通常の加工食食品に近い機能性表示食品にも配合できるようにした。

 同社がマスリン酸を機能性表示食品の機能性関与成分として初めて消費者庁へ届け出たのは2019年。その際に届け出た機能性表示は、「筋肉に軽い負荷がかかる日常的な運動と併用することで、加齢によって衰える筋肉を維持する機能があります」だった。

 その後、システマティックレビューを行い、顧客企業らに対する届出サポートを行えるようにした。だが、課題があった。マスリン酸の1日あたり摂取量。機能性表示を行うには、1日あたり60mgを摂取できる製品設計を行う必要があり、同様の機能性表示を行える化学合成の機能性関与成分と比較してコストが割高になった。そのため、植物由来の筋肉ケア成分は珍しく、高い関心を得ることも予想されたが、広がりに欠けた。

 そうした状況を打破するために、改めて臨床試験を行うことにした。従来よりも少ない摂取量で、同様の有効性が発現されるかどうかを検証するためだ。その結果、従来の半量である1日あたり30mgまで減らした場合、筋肉量に関しては、プラセボ群との比較で有意な差は見られなかったものの、筋力(握力)が有意に増加していた。この結果が、「年齢とともに低下する握る力を維持する機能があることが報告されています」という新たな機能性表示につながった。

 このため、マスリン酸を1日あたり30mg摂取できる製品設計を行えば、「握る力」の維持を訴求する機能性表示食品を開発できる。他方で、60mgで設計すれば、「日常的な運動と併用することで、年齢とともに低下する筋肉量及び筋力(握る力)を維持する機能があることが報告されています」という表示が可能になる。

 同社では、マスリン酸の製品ラインアップに「(水分散性を高めた)クリアマスリンが新たに加わったことで、(最終製品の)形態を大きく広げられるようになった。引き合いが増えることを期待している」(同)と話している。

今後に期待、パミスエキスやアマニリグナン

 現在、ニップンが届出サポートを行っている機能性関与成分としては他に、同社の主力機能性食品素材で、販売数量も安定している、肌の健康維持(保湿)を訴求するグルコシルセラミド(コメ由来及びトウモロコシ由来)とアマニ油に含まれるオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)がある。

 一方で、機能性に関する科学的根拠の積み上げが必要だが、同社の機能性食品素材には、歯周病菌抑制などのオーラルケア機能が期待できるパミスエキス(ワインの絞り粕を原料にした抽出物。オレアノール酸を3%以上含有)や、女性ホルモン様機能が報告されているため、最近ではフェムテック向けの機能性食品素材として提案しているアマニリグナン(アマニに含まれるSDG=セコイソラリシレジノールジグルコシド含量を40%以上で規格した水溶性のアマニ抽出物)などもある。

 まだまだ時間はかかるにせよ、同社は今後、第5、第6の植物由来機能性関与成分の届出サポートを手がけていくことになりそうだ。

【石川太郎】

<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都千代田区麹町4-8
TEL:03-3511-5357(ヘルスケア事業部)
URL:https://www.nippn.co.jp/
事業内容:製粉事業、食品事業、ヘルスケア事業、バイオテクノロジー関連事業など

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