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つかれず事件(1) 【7回連載】健康食品広告・表示の「判例」解説

堤半蔵門法律事務所 弁護士 堤 世浩 氏

<「医薬品該当性」の判断基準を示した最初の判例>

医薬品医療機器等法(薬機法)にも課徴金制度が導入される見通しとなり、健康食品企業では自社製品の「医薬品該当性」について、一層留意しなければならなくなる。そこで、我が国で最初に医薬品該当性の判断基準を示した「つかれず事件」の判例を振り返る。

登場人物は次の3者・社。有限会社Xは、『つかれず』と『つかれず粒』を販売する企業である。Yは、Xの代表取締役として業務全般を統括。Zは、Xの営業課長として販売業務などの営業全般を取り扱っていた。

つかれず事件は、X・Y・Z(以下「Xら」)が、医薬品である『つかれず』と『つかれず粒』を無許可販売したとして、薬事法(現・薬機法)違反に問われた事案である。

対象商品の『つかれず』と『つかれず粒』には、次のような特徴があった。

・『つかれず』と『つかれず粒』は、いずれもクエン酸またはクエン酸ナトリウムを主成分とし、そのことは製品自体に明記されていた。

・『つかれず』は粉末形状で、80グラムずつをビニール袋に入れた製品。『つかれず粒』は錠剤型で、300粒入りのビニール袋をさらに紙箱に入れた製品である。

・『つかれず』と『つかれず粒』には、販売するに当たり、「高血圧」「糖尿病」「低血圧」「貧血」「胃下垂」「リュウマチ」などによく効く旨を宣伝したチラシが添付されていた。ただし、それらは『つかれず』『つかれず粒』自体の効能ではなく、酢の人体に対する効用を説くというかたちが取られていた。

<薬事法(現・薬機法)の「医薬品」に該当するか>

『つかれず』と『つかれず粒』の主成分は、一般に食品として流通しているレモン酢や梅酢の成分と同じクエン酸、またはクエン酸ナトリウムである。その上、薬効の宣伝も、製品自体の効能としてではなく、酢の人体に対する効用を説くというかたちを崩していない。

それでも『つかれず』と『つかれず粒』が、薬事法(現・薬機法)の「医薬品」に該当するかが問われた。具体的に言えば、薬事法(現・薬機法)第2条1項2号では「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」を「医薬品」と定めており、これに『つかれず』と『つかれず粒』が該当するかどうかが問題となった。(⇒つづきは会員専用ページへ)

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