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3代目社長、コメ由来素材を海外へ 【周年特集2024】オリザ油化、設立70周年

 オリザ油化㈱(村井弘道社長)は今年1月、設立70周年を迎えた。国産こめ油を製造する国策会社として創立の年を起点にすると85周年。さらに今年は、村井社長就任20周年であるのに加え、主力製品の1つ「オリザセラミド」の発売25周年。周年尽くしの今年以降、同社は海外市場への進出をさらに加速させる。欧米や中国、東南アジアの各市場を開拓してきた村井社長が新たに狙いを定めた国はどこか。

GABAから始まったサプリ市場開拓の歴史

 村井社長が当時住んでいた米国から呼び戻されるかたちでオリザ油化に加わったのは1991年。当時の主力製品はこめ油のみ。「γ(ガンマ)-オリザノール」は製品化されていたものの、現在のように、健康食品や化粧品向けの機能性素材を豊富にラインアップしていたわけではなかった。

 転機が訪れるのは96年。米胚芽にGABA(γアミノ‐酪酸)を高濃度に富化させる製造技術を確立し、現在は機能性表示食品対応素材として複数のヘルスクレームに対応する「オリザギャバ(GABA)」を発売した。これを皮切りに、社名の由来である「Oryza sativa」(米の学名)を中心とする天然資源を有効利用した機能性素材を次々と開発し、健康食品市場に紹介していった。

 オリザギャバ以降は、97年に「シソの実エキス」、98年に「オリザトコトリエノール」、「オリザスクワラン」、「フェルラ酸」、そして99年には、米胚芽からグルコシルセラミドの抽出・分画に成功し、今では美容食品素材として定番になった「オリザセラミド」を発売。こめ油に次ぐ柱事業を創出していくことになる。

 その後2000年代に入ると、04年、村井氏が3代目社長に就任。機能性素材の開発をさらに加速させる。「年に1つは新しい製品を研究開発する」という方針を掲げ、拡大していく健康食品市場に新規素材を次々と提供していった。

 00年代の10年間に発売した製品を事細かに挙げていくとキリがない。この時代に開発、発売した代表的な製品を挙げると、大型美容食品ブランドに採用されていることで知られる「イチゴ種子エキス」(07年)、現在は東南アジア市場でも人気が高い「桜の花エキス」(10年)などがある。

年々高まる海外売上げ比率

 10年代以降は、機能性表示食品制度が15年に施行されたのに合わせ、新規素材の開発を進めつつ、既存製品の有効性に関する科学的根拠の積み上げを図った。その結果、同社の機能性表示食品対応素材は今年3月時点で14、ヘルスクレーム数としては22を数えることになった。このうち届出件数が最も多いのは「菊の花エキス」で約70。ポリフェノールの一種、ルテオリンを機能性関与成分とする尿酸値ケア素材だ。

 また、海外にも活路を見いだそうと、13年以降、アジア市場の開拓を進めていった。17年、タイに現地法人を設立するとともに、マレーシアに駐在員事務所を開設。22年にはベトナムにも駐在員事務所を設置した。ASEAN(東南アジア諸国連合)3カ国に営業拠点を置きつつ、中国や台湾でも顧客の掘り起こしを進め、売上高に占める海外売上の割合を年々、増やしている。

 「次は、インドです」。村井社長は今後有望な海外市場をそう見ている。

 「化粧品(の原材料)は15年前から輸出しています。健康食品も10年前に一度チャレンジしたのですが、上手くいきませんでした。ですが、当時と今とではマーケットの状況が違う。現地の医薬品メーカーが次々とサプリメントにシフトしています。今後、市場が大きく拡大していくことは間違いない。インドでも、オリザ(米)由来であることが強みになるはずです」

【石川 太郎】

(冒頭の写真:オリザ油化の村井弘道社長。同社提供)

<COMPANY INFORMATION>
所在地:愛知県一宮市北方町沼田1番地(本社)
TEL:0586-86-5141
URL:https://www.oryza.co.jp/
事業内容:食用米油・機能性食品素材・化粧品原料等の製造・販売

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