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創業80年、難局を「結束力」で突破する 日光ケミカルズ、世界を牽引するグローバル・ニッチトップへの挑戦

 1946年の創立から80年。日光ケミカルズは「人々の生活向上」をミッションに掲げ、界面活性剤をはじめとする化学の力で日本の産業を支え続けてきた。幾多の経済危機や震災という荒波を乗り越えてきた同社が今、2035年に向けた売上倍増と海外比率50%超という野心的なビジョンを掲げている。代表取締役社長の中原秀之氏(=写真)に話を聞いた。

困難を乗り越える「結束力」とステークホルダーとの絆

――中原社長は1993年に入社され、今年で34年目を迎えられるとのことですが、社長という立場でこの大きな節目を迎えられた今、どのようなお気持ちですか。
中原:私は5年前に社長に就任しましたが、これまでの60周年、70周年とはまた違う、経営の責任者としての立場でこの80周年を迎え、非常に感慨深く思っています。何より80年間続けてこられたのは、私の力ではなく、先人である先輩方、そして社員1人ひとりの努力があったからです。また、長年支えてくださったお取引先の皆様には心から感謝を申し上げます。

 私たちのミッションは「人々の生活の向上に貢献すること」です。おこがましいかもしれませんが、私たちが提供してきた価値が無ければ、この世に生まれていなかった製品も数多くあると自負しています。これまでの長い歴史の中で、幾多の困難を乗り越えて価値を提供し続けてこれたことを、誇りに感じています。

――これまでの歩みの中で、日光ケミカルズらしさを象徴するようなエピソードはありますか。
中原:特定のエピソードというより、リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍、そして昨今の地政学リスクといった数々の「難局」を、グループ一丸となって乗り越えてきた「結束力」こそが、当社の強みだと感じています。

 特に象徴的だったのは東日本大震災の時です。当時、当社の海外売上比率は約40%ありましたが、栃木県宇都宮市の工場が被災し、物流が完全にストップしてしまいました。海外のお客様からは供給不安の声が上がりましたが、私たちはどこよりも早く放射線量を測定するガイガーカウンターを導入し、数日おきに現状を報告する「レターニュース」を発信し続けました。

 こうした誠実な対応と、長年の信頼関係があったからこそ、欠品が生じても多くのお客様が温かい言葉をかけてくださり、支援をしてくださいました。この時の教訓とノウハウは、今も私たちの大きな財産となっています。

守り続ける「人を大切にする文化」と「業界への貢献」

――先代から受け継いだものの中で、あえて変えなかったこと、あるいはアップデートしたことは何でしょうか。
中原:創立以来の「人を大切にする文化」は、不変の根幹です。社員が成長する機会やチャンスを提供し続ける姿勢は、これまで以上に拡大させています。
 もう1つ私たちが守り続けているのが、「業界への貢献」です。その象徴が、50年続いている「開放研究室(オープンラボ)」です。東京・日本橋の本社近くにあるこの施設は、お客様に開放しており、年間で国内外から約450人もの技術者が訪れます。新入社員の研修の場として活用いただいたり、処方の課題を一緒に解決したりしています。

 また、私たちが発行してきた技術ハンドブックは、業界の「バイブル」と仰っていただくことも多く、こうした活動を通じて業界全体の技術レベル向上に寄与していく姿勢は、これからも変わりません。

若手社員の主体性とグローバルへの挑戦

――最近、社員の皆さんの変化や頼もしさを感じる場面はありますか。
中原:私のモットーは「社員に生き生き、ワクワク働いてほしい」ということです。そのための施策として、例えば25年以上前から「海外留学制度(2カ月半の米国大学留学)」を設けていますが、以前は背中を押さないと手が挙がらないこともありました。しかし現在は、若手社員が男女問わず自ら積極的に立候補し、1年待ちの状態になるほど意欲が高まっています。

 また、3年前にインド拠点を開設した際も立候補制にしたところ、数名の社員が手を挙げてくれました。自らチャンスを掴み、成長しようとする主体的な社員が増えていることは、経営者として非常に嬉しいですね。

2035年に向けたビジョン:世界ナンバーワンの「ニッチ・ケミカルカンパニー」へ

――2035年に向けた目標と、その先の100周年を見据えた展望をお聞かせください。
中原: 2035年には、現在の売上を倍増させ、海外比率も50%以上に引き上げる計画です。私たちが目指すのは、単なる規模の拡大ではなく、世界で存在感を示す「グローバルなニッチ・ケミカルカンパニー」です。
 大手では手が回らないようなニッチな市場を見つけ出す「探索力」と、お客様の高度な課題をグループの総合力で解決する「突破力」。この2つを軸に、化粧品原料だけでなく、医薬品、食品、さらには半導体洗浄剤といった新たな分野にも注力していきます。

日本の構造を変えるチャンス

――昨今のコスト増など、厳しい社会情勢についてはどうお考えですか。
中原:知政学的なリスクによるコスト上昇は避けられない現実です。BCP(事業継続計画)の強化としてサプライヤーの分散化などを進めていますが、限界もあります。ただ、私は今の状況を「日本が変わるチャンス」だと捉えています。長く続いた「安かろう」のデフレ構造から脱却し、適切な価格転嫁を行うことで、最終的に賃金が上がり、海外と対等に渡り合える経済構造へと見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。

100周年に向けてのメッセージ

――最後に、社員やステークホルダーへのメッセージをお願いします。
中原:私たちはこれからも、創造性を発揮して世の中に新しい価値を提案し続けていきます。混沌とした時代だからこそ、私たちの技術で人々に勇気や笑顔を与えられる存在でありたい。100周年を迎える時も、世界中の人々の生活向上に欠かせない企業であり続けるために、社員一丸となって挑戦を続けてまいります。

――ありがとうございました。

(聞き手・文:藤田 勇一)

【中原氏プロフィール】
中原秀之(なかはら・ひでゆき):1993年日光ケミカルズ入社、ベルジュラック・ジャポンへ出向。9年の在籍を経て同社に復帰し、大阪支店営業部で6年、国際部で海外営業を5年、東京営業部で国内営業部長を担当。2016年5月取締役営業本部長に就任、22年4月から現職。

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