レプリコンワクチンは安全か?(前) Meiji Seikaファルマ 田前雅也執行役員に聞く
昨年12月25日、立憲民主党の原口一博衆議院議員を名誉棄損で提訴したMeiji Seikaファルマ㈱(東京都中央区、小林大吉郎社長)。国産mRNA(レプリコン)ワクチン『コスタイベ』の定期接種を巡り対立する両陣営だが、両者の主張には微妙な食い違いも見られる。レプリコンワクチンそのもののリスクの可能性に警鐘を鳴らす原口議員に対し、『コスタイベ』に対する誹謗中傷に過剰に反応するかのように見えるMeiji Seikaファルマ社。さまざまな批判にどう応えるのか、都内にあるMeiji Seikaファルマ本社を訪ねた。
多くの疑問、さまざまな風評や憶測が
レプリコンワクチンに関しては一部の識者や国会議員から、「遺伝子治療薬」との批判を受けている。原口議員もその1人。現在同氏は、ワクチン接種後に自らがガンを発症したその原因について究明中と聞く。
Meiji Seikaファルマが販売する新型レプリコンワクチン『コスタイベ』を巡っては、開発から承認、生産、そして販売に至る経緯の不透明さなど、その手続きのあり方に問題があると、原口氏は指摘している。昨年11月26日付の経済誌のインタビューに応じたMeiji Seikaファルマの小林大吉郎社長が「ワクチンは打つべきだ」などと発言したことに対しては、「医薬品医療機器等法(薬機法)違反ではないか」と国会で指摘した。
また、弁護士の郷原信郎氏が運営するYouTubeチャンネル「日本の権力を斬る!」では、ゲストとして登場した上昌弘医師が、「レプリコンワクチンは仮免許」、「(コスタイベの)臨床試験はワクチンのエビデンスとしては不足」と厳しい指摘を行っている。
その他にも、医師から報告されているレプリコンワクチンの被接種者における死者数が2,000件を超える中、そのうち99%が副反応について評価不能とされている点、さらにMeiji Seikaファルマが毎月公表している市販直後調査において、いまだに2人の死亡者の死亡日が特定されていない点も、余計な憶測を呼んでいる。これら複数の疑問について、同社執行役員・経営戦略副本部長の田前雅也氏に話を聞いた。
レプリコンはベトナム生まれの日本育ち
『コスタイベ』は、コロナ禍でのワクチン国産化国家戦略の一環として開発された。ファイザー社やモデルナ社への依存を減らすため、2021年から国産ワクチン開発体制が構築された。
政府の打診を受けたMeiji Seikaファルマは、すでにベトナムで1万6,000人を対象にした臨床試験を行っていたArcturus(アークトゥルス)社のワクチンの国産化を進めることになる。
東日本大震災の復興事業の一環として国の支援を受けるかたちで、福島県南相馬市でワクチンの原薬を製造する体制を整える。その後、アークトゥルス社のグループ会社で、Meiji Seikaファルマも出資しているARCALIS(アルカリス)社が福島県南相馬市の工場で生産した原薬を小田原工場で製剤化するという一貫製造体制を構築する。
国内での定期接種が始まったのは昨年(2024年)10月だった。第1回目の接種は海外で製造した製剤を輸入して行った。
ところがその時すでに、レプリコンワクチンに対する否定的な情報がSNSなどのネット上に溢れており、実際の摂取者は当初予定していた接種者数を大幅に下回ることとなる。本来だと、輸入品が払底した後に、国内製造品を出荷する予定だったのが、両方の製品が混在する格好となった。
「製法は全く同じなので有効性や安全性に差があるということは一切ない」と言う田前氏。予防接種のピーク10~12月を経て、1月以降はほぼ出荷もストップ状態が続いている。予防接種のシーズンはいったん3月で終了するため、現在、次のシーズンに向けて準備中だ。
先に紹介した郷原弁護士などは、「そもそもMeiji Seikaファルマは売る気がなかったのではないか」と厳しい見方をしている。原口議員も国会で、ワクチンを巡る補助金の使い方を疑問視している。不正があったかどうかはともかく、果たしてSNSによる風評被害だけの問題だったのだろうか? 販売戦略における失敗ではなかったのか?
田前氏は「被接種者の意向がまずベースにある。この時期に売りたいからという当社の事情や都合で、そこに売り込もうなどということは全くない」とし、発売前にSNS上に広がった誤った情報などの悪影響を大きく受けた結果だったと語っている。
日本看護倫理学会がシェディングなどの懸念を表明
その大きな原因の1つとなったのが、レプリコンワクチンの安全性・倫理性に懸念を表明した(一社)日本看護倫理学会(前田樹海理事長)の声明文だろう。同学会は、①レプリコンワクチンが開発国や先行治験国で認可されていない問題、②シェディングの問題、③将来の安全性に関する問題、④インフォームドコンセントの問題、⑤接種勧奨と同調圧力の問題――の5点を挙げてレプリコンワクチンの導入に異議を唱えている。
これに対してMeiji Seikaファルマは今年に入り、2月12日に欧州30カ国で『コスタイベ』が承認されたことをもって、「海外で未認可であるということは何らかの安全上の懸念があるのではないかと疑わざるを得ない」とする同学会の主張を変更するように求めている。
これは上記声明文の①に記述された一文だが、Meiji Seikaファルマが示した見解に対して3月27日現在、学会からの回答はないという。
学会の主張に加えて田前氏は、シェディングの問題にも言及した。シェディングとは、レプリコンワクチン自体が接種者から非接種者に感染するのではないかという懸念のこと。学会は「(2024年)10月からの定期接種が、シェディングの有無を確認するための実証研究になってはいけないと考える」との声明を②において行っている。シェディングに関する風評はまたたく間に広がり、美容院やヨガスタジオなどで「レプリコンワクチンの接種者は入店お断り」などの緊急措置を取るところも出た。
「感染症の主要学会や厚生労働省も、シェディングが生じるという科学的知見はない。このような状況を生み出した原因に、日本人がワクチンに対して懐疑的な国民である点にある」と持論を展開する田前氏。MMRワクチン訴訟、B型肝炎ワクチン訴訟、子宮頸がん訴訟など、1990年代に国内で起きた複数の裁判をその根拠として挙げ、「SNS上の偽情報、誤情報も含めて蔓延し、多くの人たちが誤解をして、ワクチンの接種がますます後退する」との懸念を述べている。
Meiji Seikaファルマ、法的措置などの対抗手段は考えず
日本看護倫理学会への対応を聞いたところ、「論争をこれ以上続けても、取り下げろなどということを執拗に迫っても、すでにファクトとして(海外でも)承認されたことは事実。日本看護倫理学会が最初の声明に書かれている部分は完全に形骸化しているので、それはわざわざし否定しなくてもファクトがそれを証明している。これ以上言っても仕方のないこと」と、法的措置などを取る意思はないとした。
同氏はシェディングについても、「本当にそれが事実で体の中で自己増幅が続いているとすれば、満員電車に乗っている人が気持ち悪くなるとか、そういう人がたくさん出てきてもおかしくない」とコメントしたのに対し、「社内でもたくさんレプリコンワクチンを打っていますが、そういう症状が出た人はⅠ人もいません」と広報・渉外部長の吉川和彦氏が続けた。
日本看護倫理学会の声明文に関する対応については、現在、ウェルネスデイリーニュース編集部でも確認しており、学会からの回答を待っている段階だ。
(つづく)
【田代 宏】
(冒頭の写真:左から執行役員・経営戦略副本部長の田前雅也氏と、広報・渉外部長の吉川和彦氏)
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