1. HOME
  2. 健康食品
  3. 2つの抗酸化成分、2つの新知見 エルゴチオネインとセレノネイン、サプリ利用さらに広がるか

2つの抗酸化成分、2つの新知見 エルゴチオネインとセレノネイン、サプリ利用さらに広がるか

 エルゴチオネインとセレノネイン。いずれも抗酸化成分。名前が似ているのは偶然でなく、お互い成分としての成り立ち(構造)がよく似ている。

 それぞれ自然界に存在する成分でもある。前者はキノコ類等、後者はマグロなどの魚類等に含まれていて、近年、そうした天然物から得られる両成分の機能に着目し、サプリメントに使用する動きが広がりつつある。その中でも積極的な取り組みを進めているのは、サプリの販売などを手がける㈱エル・エスコーポレーション(東京都中央区)。両成分について最近、新しい知見を報告した。

記憶力等の維持とストレス改善、同時にうたえる可能性

 食用キノコのタモギタケのエキスに含まれるエルゴチオネインは、機能性表示食品のサプリにも使われている。それ(エルゴチオネイン含有タモギタケ抽出物)を供給するエル・エスコーポレーションは昨年11月、学術誌『薬理と治療』に新しい論文を発表。約50人のストレスを感じる健康な人を2つのグループに分け、エルゴチオネイン含有食品(ドリンク)、またはプラセボを8週間摂取してもらい、ストレスによる気分の状態や睡眠の質などが改善されるか調べた結果を報告した。

 タモギタケ抽出物に含まれるエルゴチオネインを、機能性関与成分として配合した機能性表示食品は現在、認知機能の一部に対する働きが表示(ヘルスクレーム)されている。具体的には、「抗酸化作用をもつエルゴチオネインは継続的な摂取により、中高年の方の記憶力(人や物の名前などを記憶し、後から呼び起こす能力)及び注意力(物事に対して注意を集中して持続させる能力)を維持する機能があります」(届出番号G1246から引用)。

 同社が昨年発表した新論文は、タモギタケ由来エルゴチオネインで可能なヘルスクレームを、記憶力などの維持以外にも広げられる可能性を検証し、発表したものだ。

 論文著者にも名を連ねる同社の松本聡執行役員(製造開発部)は、試験結果について、「エルゴチオネインを5mg含有した飲料を4~8週間摂取することで、抗ストレス効果として気分状態や睡眠の質を改善させる効果のあることが示唆された。もう1つ、胃の不快感を改善する可能性も示された。どうして胃の不快感にまで影響を及ぼすのか、興味深いと思っている」と話す。

セレノネイン、血管ケア機能ある可能性示唆

 一方、エルゴチオネインの成り立ちのうち、硫黄原子がセレン原子に置き換わった構造を持つセレノネインについて同社は今年1月、全身に張り巡らされた血管の中でも特に動脈の健康維持に関わる、血管内皮細胞に対する酸化LDLコレステロールの吸着抑制機能があることを見つけ出し、そのことの特許(第7598656号)が成立したと発表した。本格的なヒト試験を実施するための予備的ヒト試験を行う中で明らかにできたという。

 同社はセレノネインの原材料供給も手がける。セレノネインを発見した日本の研究者と共同で、同成分が一定量含まれるように調整したサバの酵素処理タンパク質を開発。「サバペプチド」と名付け、国内外に向けた原材料販売などを行っている。

 タモギタケ由来のエルゴチオネインは機能性表示食品に利用されているが、サバ由来のセレノネインはそうではない。ただ、同社の松本氏は取材に、「そうできるようにしたいとは考えている」とコメント。「もともと、エルゴチオネインとセレノネインはセットで研究開発を進めてきたのだから」という。

 ヘルスクレームを行えることもあり、エルゴチオネインの業界認知は以前に比べて高まった。また、複数の機能性表示食品が店頭を中心に販売されていることもあって、消費者との接点も大きく拡大している。一方で、セレノネインの消費者認知も少しずつ高まっている様子だ。昨年10月、地上波テレビの某・教養バラエティ番組で取り上げられた。「(放送されることを)聞いていなかったので驚いたし大変だった」と同社関係者は話す。

【石川太郎】

関連記事:エルゴチオネイン研究、リン酸化TrkBとの関係、ネイチャー系列誌に論文掲載
    :認知機能領域で特許権が成立 エルゴチオネイン、LSコーポレーションが取得
    :セレノネイン、未病改善に有効か 神奈川県や聖マリアンナ医科大らが臨床試験

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ