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食品表示基準の改正ポイントを整理 WNG、食品表示制度の改正をまとめて解説

 ㈱ウェルネスニュースグループ(東京都港区/WNG)はきのう23日、食品関連事業者を対象にしたオンラインセミナー「日本の食品表示制度の改正状況~まとめと今後について」を開催した。原料メーカー、OEM受託メーカー、大手食品・製薬メーカーなど多数の関係者が参加した。

 基調講演の講師として、㈱ラベルバンク代表取締役の川合裕之氏が講演。食品表示基準の最近の改正に関する情報と、経過措置期間のあるものを時系列にまとめて解説した。また、現在検討されている各テーマについても、その内容と課題を整理した。

 食品表示に関する規則について川合氏は「ミス防止の観点では、細かい規則を覚えることよりもまずは全体の構造を把握することが大切と言える。食品表示に関する規則は全て食品表示基準に集約されているわけではない。そのため、改正が行われた際は、関連する周辺規則(通知・Q&A等)まで含めて確認することが重要」と話した。

 「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書(2024年9月)」によると、23年の調査結果から、17年、20年の調査に引き続き、くるみ、カシューナッツなどの木の実類の即時型食物アレルギーの健康被害が継続して増加傾向にあることが明らかになった。なかでもくるみは症例数が多く、その数は17年251件、20年463件、23年916件と増加し、鶏卵に次ぐ原因食物の第2位となった。そのほかの木の実類のカシューナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ペカンナッツの増加率も前回調査から1.5倍以上となっている。川合氏は、木の実類のアレルゲン表示改正にはこうした背景があると説明。「カシューナッツは25年度内に義務品目移行が検討されており、ピスタチオも推奨品目に追加予定」と説明した。

今後の食品表示基準の改正について整理

 「栄養強化目的の添加物の表示義務化(表示免除規定の削除)」、「栄養素等表示基準値等の改正」、「個別品目ごとの表示ルールの見直し」について、1月28日までパブリックコメントの募集が行われており、4月1日(一部は26年4月1日)の施行が予定されている。30日から消費者委員会に置いて審議がスタートする。

 「栄養強化目的の添加物の表示義務化(表示免除規定の削除)」は、一般用加工食品の横断的表示における添加物の免除既定のうち、栄養強化の目的で使用されるものに関する記述を削除する。「栄養素等表示基準値等の改正」は、①「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書を踏まえ改正(その他、別表第9について②食物繊維、③ビタミンB群を改正する)。「個別品目ごとの表示ルールの見直し」は、横断的な表示基準が策定されてから見直しを行っていないことから、「個別品目ごとの表示ルール見直し分科会」の検討の結果を踏まえ、食品表示基準を見直すと説明した。

その他の検討状況

 「食品表示へのデジタルツール活用」について川合氏は、「令和7年度も引き続き技術的な課題についての議論と、具体的な食品表示へのデジタルツールの活用方法、そのためのルールや消費者への情報提供の中身の検討がなされる予定」と説明。「食品期限表示設定ガイドラインの見直し」については、「食品ロス削減への対応が背景にあるため、一律ではなく食品別に設定する方向性となっている。改正ガイドラインは今年3月に公表される予定」と説明した。
 
改正機能性表示食品制度のポイントを解説
 
 第2部では、ウェルネスニュースグループの石川太郎記者が「機能性表示食品制度」の昨年9月1日に一部施行された大改正について、新情報を交えてポイントを解説した。

 小林製薬の紅麹サプリによる健康被害問題を受け、サプリメントの品質管理と健康被害情報の取り扱いが制度改正の焦点となった。「紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合公表資料」によると、「今回の事案を踏まえた更なる検討課題」として「食品業界の実態を踏まえつつ、サプリメントに関する規制の在り方、許可業種や営業許可施設の基準の在り方などについて、必要に応じて検討を進める」とある。石川記者は「サプリメントの横断的な新たな規制の検討が、近い将来始まる可能性が高い」と話した。

 改正制度のポイントとして、「通知行政」からの脱却が挙げられる。これまで機能性表示食品制度は、運用面を中心に改正が繰り返されてきた。その際に取られた手法は届出ガイドライン及び質疑応答集の改正。一方で今回の改正は、従来の改正とは手法が大きく異なる。「新たな法令の公布による改正(法制化)という手法が取られた。法令ではないガイドラインや質疑応答集に基づく運用では、法的な拘束力に欠けることがその理由」と説明した。
 容器包装上の表示の見直しが行われる。消費者庁では、機能性表示食品制度に対する消費者の信頼性を高め、消費者が適切に商品を選択するためには、商品の情報が正しく伝わることが重要。また、「機能性表示食品」である旨の視認性を確保するため、表示形式及び表示位置の統一に努める必要があるとして、表示方法案を示している。消費者庁が示した「適切な例」を紹介した。

品質確保の重要性

 今回の健康被害問題を受け、健康食品の市場規模は縮小した。消費者からの信頼を回復させつつさらなるマーケットの拡大を図るためには、やはり品質の確保が最も重要。「機能を表示するためのヘルスクレームで消費者とのコミュニケーションを取る。そのヘルスクレームの裏付けは、機能性に関して科学的根拠があるということ。ただそれだけでは不十分で、安全性に関しても科学的根拠が必要。つまり、機能性の裏付けには安全性があるというものでなければならない。その機能性と安全性の両方を確保するために品質が整っていなければならず、その品質を保証する1つの手段が医薬品を参考にしたGMPではないか」と話した。

 参加者からは、「食品表示について時系列で学ぶ良い機会になった」、「食品表示基準の一覧と、変更箇所について記載された表がとても見やすく今後も活用していきたい」、「改めて機能性表示の改正について情報アップデートが出来た」、「改正制度のポイントについて、容器・包装表示のルールの中で把握しきれていない点があったため参考になった」といった声が寄せられた。

【藤田 勇一】

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