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消費者庁公表のステマ規制Q&A 生みの親はRIZAP?~「問16はそのもの」との意見も

 RIZAP㈱(東京都新宿区)や大正製薬㈱(東京都豊島区)など、ステマ規制で処分される大型事案が続く中、消費者庁が同庁のホームページに「ステルスマーケティングに関するQ&A」を掲示していることが分かった。

 RIZAPが今年8月8日、大正製薬が同11月13日に、ステマ規制(景品表示法第5条3号告示)に基づく措置命令を受けている。共にインフルエンサーに有償でInstagramに投稿した広告を抜粋し、自社ウェブサイトに掲載した表示に対する処分だった。処分の根拠として同庁は、表示には「広告」、「宣伝」、「プロモーション」、「PR」などの文字がなく、一般消費者にとって事業者の表示であることが明らかになっていなかったとしている。

 ステマQ&Aを掲載したのは「10月17日だったと思う」と消費者庁。あえて新着情報として公表しなかった理由は特にないという。
 ステマ規制が始まったのが昨年10月1日。「ちょうど1年経ったところで作ろうという話があったが、その時に寄せられた相談とか、実際の事件をベースに作成した」(消費者庁)

 Q&A問10には「当社では、当社の商品を購入したお客様に、商品を使用した感想等に関するアンケートの回答に協力していただいています。この度、このようなアンケートの回答の一部を引用(抜粋)し、『お客様の声』として自社ウェブサイト内に掲載することを検討しています。この場合、告示に違反することはありますか」

 同じく問16には、「当社では、プロモーションのために、インフルエンサーに依頼をし、当社の商品についてSNSに投稿をして貰いました。この度、当該投稿を抜粋し、『お客様の声』として自社ウェブサイト内に掲載することを検討していますが、告示との関係で注意すべき点はありますか。なお、インフルエンサーの投稿が『事業者の表示』に当たることを前提としています」との問いがある。

 同庁によれば、この「お客様の声」というのがRIZAPのケースを参考に作られたものだという。

 大正製薬に対する措置命令はそれから約1カ月後のことだった。当然、Q&Aの作成が進んでいる頃には大正製薬に対しても調査が行われた時期に当たる。
 「念頭に置きつつ」作成したものの、処分前のためにそのまま使った事例は「ない」という。

 問16について専門家は、「お客様の声というのはRIZAP案件そのもの。大正製薬の表示ではお客様の声とは表示していないが、インスタの投稿を抜粋して貼り付けているのは同じ」と述べている。

 問16の回答は以下のとおりだ。
 「『お客様の声』という場合、通常、顧客の自主的な意思に基づく感想等が記載されていると理解されるため、『事業者の表示』に当たるインフルエンサーの投稿を、『お客様の声』として自社のウェブサイト上に掲載することは適当ではありません。
『事業者の表示』に当たるインフルエンサーの投稿を掲載する場合は、自社の依頼したインフルエンサーの投稿であることが、ウェブサイトを見た一般消費者にとって明瞭になる形で表示する必要があります」

 消費者庁は、事業者団体や消費者団体などに対して、あるいは地方講演などにおいてもQ&Aの公表について伝えているというが、知らない関係者は多い。事業者にとってはステマ告示の理解の大きな一助となるQ&Aだけに、違反行為の未然防止のためにもこのような事案は特定の団体に限らず、消費者庁HPの新着情報で逐次公表し、業界およびメディアに対してあまねく周知した方がよいだろう。

 【田代 宏】

ステルスマーケティングに関するQ&Aはこちら

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