㈱ユニアル（東京都板橋区、原高明社長）は、クマ笹のパイオニア企業として1945年に創業、2005年に設立し、今年18年目を迎えた。機能性表示食品の他にも、地域に眠る機能性素材を全国で発掘し、地域貢献を実現している。クライアントのニーズに寄り添ったマーケッティング手法を追求しつつ、独自の原料・OEMメーカーを目指す。

「便臭」で初の機能性表示食品

　同社のグループ会社㈱ユニアル・ライフサイエンス（北海道札幌市）では「クマイザサ由来ホロセルロース」を機能性関与成分とした機能性表示食品『クマ笹青汁』（届出番号：F1017）、『クマ笹青汁SR（えすあーる）』（同G591）が届出公表されている。従来の青汁との大きな違いは「便臭」に関する機能性。
　「本品にはクマイザサ由来ホロセルロースが含まれ、便秘傾向の方の便の状態（便の臭い）を整え、お通じ（排便回数）を改善することでお腹の調子を整えます。お腹の調子をすっきり整えたい方に適した食品です」などと表示する。表示の中で3つの機能性が期待されており、便臭に期待した表示は初めてのことだ。

　「機能性表示食品のOEM受託は徐々に結果が出始めている」とする同社の原英郎専務。また、それとは別に、クマ笹粉末原料の出荷は伸び続けている。「長引くコロナ禍の影響もあり、全体的に健康意識が高まる中、引き合いは右肩上がりに上がってきた」とし、6月期の売上高は前年の10％増と好調に推移。3期連続の2ケタ増も見えてきた。

若年層にも広がり見せる

　好調の要因の1つにユーザー層の広がりが考えられる。従来から青汁嗜好の強い「中高年層」にとどまらず、若年層にも広がりを見せ始めたことだ。同社は「1つとして、機能性食品の購入層である両親が、健康維持を目的として子どもたちにも青汁を飲ませ始めるなど、青汁がファミリーユースとして定着しつつある」と分析する。
　このような傾向を受けて、結果的に若年層の「臭いを気にする」世代の取り込みに成功している。介護やクリニックなどのドクタールートにおける「便臭」ニーズ以外に、新たな世代への訴求力が高まりを見せる中、大麦若葉・ケール・明日葉などの青汁素材に、香味のアップグレードを目的としてクマ笹を複合する企業も増えつつある。新たな動きとしては、摂取量を抑えた設定で血糖関連にアプローチする試験デザインを検討中。「すでに動物試験までは完了しており、作用機序も考察済み」とし、臨床試験の計画段階で年内着手を目指している。

　クマザサエキス末の方でも新たな動きがある。動物病院との共同研究によるペット向け口腔ケアのデータを活用し、ペットアメニティ用品の原料としてOEMの引き合いが出始めている。

クマ笹由来乳酸菌「大雪乳酸菌®」とのコラボも

　クマ笹由来の乳酸菌にも大きな期待をかけている。北海道の大雪山系で採取した乳酸菌で、菌数は1ｇ当たり5,000億個を規格化。これまでも体重の抑制機能や腸内環境の改善などについて動物試験でのエビデンスを発表してきた。今回、動物試験の経口摂取によるIgA（免疫グロブリンA）抗体量の増加を確認したことで、クマ笹粉末と組み合わせた商品の企画に発展する可能性が見出されたようである。「引き続き新しいデータも取得しながら、多角的な機能性を持つクマ笹原料シリーズの提案を進めていきたい」と話している。

SDGs対応素材としての強みも

　北海道の大自然の中で生育するクマ笹。「SDGs対応ですか？」との問い合わせが多いという。国内の林産資源の有効活用に加えて、北海道の遠隔地で採取しているために高齢者雇用促進、地域の産業創出にも寄与しているということで、消費者にとっても目に見えて、実感できるSDGsに協力できるというインセンティブに訴えかけることができる。北海道外の販社からも、単なる機能性だけではなく、商品特質と地域貢献などのかけ合わせによる見せ方について原料の専門家である同社とディスカッションすることで、新たな販売につなげたいという要望が多く出てきたという。

　海外展開のサポートも行う。メイド・イン・ジャパン商品で海外展開を希望する国内企業に対し、輸出時に必要な情報の提供、現地での流通実績などに関して、先行して同社が海外物産展などに積極的に出店することで蓄積したノウハウを有効に活用、提供している。

＜COMPANY　INFORMATION＞
所在地：東京都板橋区仲宿63-10（本社）
　　　　北海道札幌市北区北21条西11丁目
北海道大学 北キャンパス総合研究棟内
（北海道生物資源イノベーションセンター）
TEL：03-5248-7566
E-mail：info-unial@unial.co.jp
URL：https://www.unial.info
事業内容：健康食品の原料販売、OEM受託

（冒頭の写真：クマイザサ粉末）