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食品機能研究を後退させてはならない 「巡る検討会」構成員、西﨑泰弘氏に聞く

 「巡る検討会」構成員の中には機能性表示食品の研究に携わる有識者もいた。「薬草は生えている時点では薬草ではない。有益な成分が含まれると認識され、摂取する経験を通じて薬草となる」と論じた医師の西﨑泰弘・東海大学医学部総合診療学系健康管理学領域主任教授(=写真)である。健康食品の健康被害情報の分析・評価も行う西﨑教授に、改革される機能性表示食品制度に対する受け止めなどを聞いた。(聞き手・文:石川太郎)

起こり得る健康被害、どう備えるかが大切

──検討会での発言から、機能性表示食品やサプリメントに肯定的な考えを持っていることが伝わりました。

西﨑 委員(構成員)の中で私は少し立ち位置が違っていたかもしれません。私は「NR・サプリメントアドバイザー」(健康食品の正しい情報を消費者に伝える役割を担うアドバイザリースタッフの1つ)を育成する日本臨床栄養協会の理事を務めていますが、私自身も2000年代初頭からサプリメントアドバイザーの有資格者です。受験して資格を得ました。

 また、機能性表示食品の研究者でもあります。機能性表示食品の研究を始めたのは、制度開始前の2013年頃からです。医師が機能性食品の研究をなぜ行っているのかといえば、まず、ヒト介入試験は医師しか行えないこと。また、検討会でも自己紹介させてもらいましたが、私は日本総合健診医学会という、健診や人間ドックをつかさどる人たち約2,600人が加入している学会の理事長をしています。私自身が健診・人間ドッグを行う中で、食品などの効果を確かめるヒト介入試験を自ら行い、自分で確認したデータに基づき生活習慣の改善などを語ることが出来る良さがあるからです。そのようにして始めた研究は、現在大きくブレイクしているある商品も含め、いくつかの商品で機能性表示や知的財産権の獲得につながっています。

──「薬草は生えている時点では薬草ではない。有益な成分が含まれると認識され、摂取する経験を通じて薬草となる」という発言が印象に残っています。

西﨑 医薬品の中には天然物から発見・抽出された成分が沢山あります。入り口は経験的な効果感からですが、そのメカニズムが研究され、さらにヒト介入試験が行われて、最終的に医薬品になる。あるいは医薬品にならずとも、一定の効果を持つことが証明されてトクホや機能性表示となっています。ですから、それを研究することはとても意義のあることで、私自身が機能性表示食品制度を全面的に受け入れている理由です。

──しかしその機能性表示食品で大規模な健康被害が生じてしまいました。

西﨑 私は今年3月末まで、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 (食品衛生分科会新開発食品調査部会新開発食品評価調査会及び指定成分等含有食品等との関連が疑われる健康被害情報への対応ワーキンググループ)の委員の1人として約8年間にわたり、指定成分等含有食品、いわゆる健康食品の健康被害情報の分析・評価を行ってきました。

(この続きは会員のみお読みいただけます。残り約2,490文字。続きは「会員ページ」の「月刊誌閲覧」内「Wellness Monthly Report」2024年7月号(73号)の特集「機能性表示制度とサプリの行方」から)

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