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自然免疫と抗老化の関係伝える 自然免疫制御技術研究組合、定例シンポで4講演

 LPSをはじめとする糖脂質を活用して自然免疫を制御する技術の開発をめざす自然免疫制御技術研究組合(本部:香川県高松市、杣源一郎代表理事)は8日、毎年定例の「自然免疫シンポジウム」を東京・田町のカンファレンスセンターで開き、健康食品や化粧品の研究開発従事者を含む業界関係者ら約100人が聴講した。

 比較的新しい概念である「自然免疫制御」の重要性を広く伝えていくことを目的とする同シンポの開催は今回で12回目を数える。今回のテーマには、昨年好評だった「アンチエイジングと自然免疫」を引き続き選んだ。開催挨拶に立った杣(そま)代表理事は、「近年、老化の予防に自然免疫機能が重要な役割を持つことが明らかになりつつある」とした上で、「健康長寿の願いを少しでも叶えられる技術の開発を、自然免疫に着目して行うことには現代的な意義がある」と語った。

 講演では、自然免疫細胞の1つ、マクロファージが皮膚組織(真皮)の老化細胞を除去するメカニズムが伝えられた。「セノリティクス」にも関わるこの講演を行ったのは、日本メナード化粧品㈱の大形悠一郎主任研究員。「自然免疫による老化細胞除去が皮膚再生に果たす役割」と題して講演したもので、大形氏らの研究グループは、皮膚におけるマクロファージの役割として、マクロファージが老化細胞を貪食した後、成長因子を分泌して幹細胞を活性化させ、皮膚の恒常性を維持する機能を担うことも明らかにしたという。マクロファージの活性化が肌の抗老化に寄与する可能性を伝えた。

 皮膚の抗老化と自然免疫に関する講演は他にもあり、自然免疫制御技術研究組合が研究開発に取り組むパントエア菌LPSのスキンケア機能を同研究組合が報告。真皮細胞に対する同LPSの機能を調べる細胞試験を行ったところ、同LPSは間接的に真皮細胞の増殖を促すこと、同じく間接的に真皮細胞でのヒアルロン酸やエラスチンの合成を促進すること、さらに、同LPSで刺激したマクロファージから分泌される成長因子が線維芽細胞のヒアルロン酸合成を高めること──などを見し出したという。引き続き研究を進める方針で、ヒト試験による効果検証にも意欲を示した。

 講演ではこのほか、88歳にして現役医師の帯津良一氏がホリスティック医学の意義を聴講者に語りかけた他、同研究組合の稲川裕之研究開発本部長が「老化研究を自然免疫から視る」と題して講演。稲川氏は、ニュージーランドのダニーデンで行われた加齢速度に関する疫学研究(ダニーデン研究)を下敷きに、老化速度との関連性が高いとされる肥満(糖尿病)や筋力と自然免疫との関連性を、海外の学術誌上に掲載された論文を踏まえて紹介した。

(冒頭の写真:会場開催のみで実施された第12回シンポの様子。登壇者は杣代表理事)

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