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深まるESG経営、環境に積極投資 【SDGsと健康食品産業】常磐植物化学研究所、近くCO2排出量実質ゼロへ

 植物抽出物メーカーの㈱常磐植物化学研究所(立﨑仁社長)が取り組むESG経営が深まってきた。特に環境の持続可能性に貢献するための投資を積極的に進めており、温室効果ガス(二酸化炭素)排出量実質ゼロを目指すカーボンニュートラルは今後3年以内に実現できる見通しだ。環境や社会に配慮した経営を推進することで、企業としての持続可能性と価値を高める。と同時に持続可能性につながる新たな価値を製品に付加したい考え。

カーボンニュートラルの実現目指す

 同社が策定した「環境経営」方針には、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す方針が掲げられている。本社工場を置く千葉県佐倉市が表明した「佐倉市ゼロカーボンシティ宣言」を全面的に支持したもので、その達成に向けた中間目標も設定した。30年までに、二酸化炭素排出量を13年度比で46%削減する目標を掲げる。

 目標達成に向けた具体的な手段として同社が進めたのは、カーボン・クレジットで相殺することで二酸化炭素排出量を実質ゼロと見なすカーボンニュートラルLNG(液化天然ガス)をはじめ、太陽光発電やカーボンニュートラル由来電力などへの投資と早期導入だ。

 カーボンニュートラルLNGの導入などによって、ガス・電力使用による工場からの二酸化炭素排出量を実質ゼロ化した。また太陽光発電では、工場の屋根に大量の太陽光パネルを設置し、工場全体で使用する電力のおよそ2割を賄えるようにしている。

 こうした取り組みを一気に進めたことで、中間目標の46%削減は昨年度(22年度)のうちに達成。今年度の削減率は99%に達する見通しだといい、残すは軽油やガソリンなどの使用で生じる二酸化炭素の削減のみとなる。同社では「今後3年以内」での実質ゼロ化に自信を見せており、従来目標を大幅に前倒すかたちで二酸化炭素排出量実質ゼロを達成することになりそうだ。

サステナビリティの意識、全社的に浸透

 環境経営方針にはほかに、循環経済の実現に向けた「4R」(Rethink、Reduce、Recuse、Recycle)の推進を掲げる。

 その枠組みで、植物抽出物の製造過程で生じる残さを再資源化して廃棄物を減少させる取り組みを進めている。現在までに実用化しているダンボール箱や紙、肥料などの原料以外にも用途を広げようと、現在、バイオマスなどとして再利用する方法を考案中。また「環境への負荷を減らす製造」も掲げており、必要最低限の原料(植物)の調達をはじめ、化学物質の使用量や排水量をより少なくする製法改良に継続的に取り組んでいる。

 同社が持続可能性に配慮した経営を始めたのは2007年。現社長の立﨑仁氏が入社するのとほぼ同時に着手した。「ビジネスを大きくしていくためには、環境、CSR、サステナビリティなどを意識する必要があるという考えがもともとあった。立﨑(社長)が始めたことだが、今ではそうした意識が全社的に浸透している」と同社の広報担当者は話す。

 最近では、ESGのうち、社会を意識した経営に関わる「健康経営」にも力を入れている。今年3月、健康経営優良法人(中小規模法人部門)のうち上位500社を対象とする「健康経営優良法人2023 ブライト500」に認定された。

【石川太郎】

(文中の写真:工場の屋根一面に設置された太陽光パネル。常磐植物化学研究所提供)

『ウェルネスマンスリーレポート』2023年9月号(第63号)より転載

<COMPANY INFORMATION>
所在地:千葉県佐倉市木野子158番地(本社・工場)
TEL:043-498-0007
URL:https://www.tokiwaph.co.jp/
事業内容:機能性表示食品対応素材、医薬品原薬、化粧品原料等の製造及び販売

 
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