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消費者庁次長、送料無料表示に物申す 【物流2024年問題】再配達率高止まりの要因と指摘

 消費者庁の黒田岳士次長(=写真)と、経済産業省の澤井俊大臣官房審議官が16日、(公社)日本通信販売協会(粟野光章会長)が都内で開いた定時総会記念会員懇談会で来賓挨拶を行い、それぞれトラックドライバー不足で物流の停滞が懸念される「2024年問題」に言及した。

 黒田氏は、通販の「送料無料」表示を疑問視。「ただで運ぶはずがない。消費者は、『無料』という言葉に惑わされているのではないか」と述べた。澤井氏は、「残された時間はあと10カ月しかない」と述べて危機感を示し、現在12%で高止まっている再配達率の半減に向けた協力を通販業界に求めた。

 来年4月1日以降、働き方改革関連法の取り決めで、トラックドライバーの年間時間外労働時間の上限が960時間に制限される。これによりドライバーが不足、物流の停滞につながると懸念されている。これが物流の2024年問題で、政府の試算によれば、何も対策を生じなければ2024年度に14%、30年度には34%の輸送力不足が生じる恐れがある。

 この日の来賓挨拶で消費者庁の黒田次長は、再配達率が高止まっている背景について、「あくまでも仮説」として、消費者の配送に対する誤解やコスト感覚の低さがあると指摘。そうなる要因として「送料無料」表示を挙げ、同表示を取り止める必要があるとの考えを示唆した。そのうえで、配送料が商品価格に反映されているかどうかや同表示を取り止めた際の影響などを把握するために「関係者から実態を伺いたい」と述べ、今後、通販事業者などから聞き取りを行う考えを示した。

 黒田氏はまた、「トラック業界は10年くらい前から(送料無料)表示をやめて欲しいと言っている」と述べた上で、「2024年問題で運び手が居なくってしまうかもしれないという時に、その人たちが嫌がることを(今後も)続けるのかという問題だ」と発言。「送料無料」表示に対する強い問題提起を通販業界関係者の目の前で行った。

政府、「物流革新」に向けた政策に送料無料表示の見直しも

 政府は今月2日、我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議を開き、「物流革新に向けた政策パッケージ」を決定している。商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容の3つの観点から、2024年問題への抜本的・総合的な対策を講じる構え。商慣行の見直しでは、「送料無料」表示の見直しに取り組む方針も盛り込んだ。「運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されるべき」だとしている。

【石川太郎】

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