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PL法基礎からリコール保険の実務 消費者事故にどう対応するか詳細に解説~WNGセミナー

 ㈱ウェルネスニュースグループ(WNG、東京都港区)はきのう2日、ヘルスケア関連事業者向けにリスク管理対策のためのコンプライアンスセミナーをオンラインで開催した。健康食品の原材料メーカー、受託メーカー、通販メーカーなど幅広い商流から聴講者が参加した。「今の産業界にとって聞いておくべきよいセミナーだったと思う」との感想が寄せられた。

PL法の基礎、法的問題点を考察

 (弁)淀屋橋・山上合同の髙芝元(コウ・チウォン)弁護士は、「製品責任と消費者保護~紅麹問題が示す法的リスクと対策」と題して講演。「製造業者等の免責」とは何か? 紅麹問題を理解する上で、製造物責任法(PL法)の基本的な法知識を解説した。
 さらに法的問題点に関して考察し、健康食品において過去に起きた複数の食品事故の事例なども紹介した。

 法的問題点については、「紅麹コレステヘルプなどは製造物に該当するか」、「小林製薬は製造業者等に該当するか」、「腎障害を引き起こす成分が含まれていたなど、製品に欠陥があると判断されるか」、「当該欠陥と、発生した健康被害等との間に因果関係があるか」、「原告側が主張する健康被害等に基づく損害額が因果関係の範囲内か」、「開発危険の抗弁(PL法第4条第1号)が認められる余地はあるか」、「素因減額(民法722条類推適用)される余地はあるか」――などに関して考察を深めた。

「PL保険」カビには対応せず

 AIG損害保険㈱の鴨川貴幸(かもがわ・たかゆき)氏は、「クレーム受付からリコール実施までの実務と保険」と題して講演。損害保険には、「PL保険に付随する簡易的なリコール補償」、「生産物品質保証という広範囲なリコール補償」の2種類の保険があると説明。補償範囲の狭いPL保険は会社を守るもの、補償範囲の広い生産物品質補償保険は事業を守るものと説明、具体的にその中身を紹介した。

 紅麹サプリ事故について説明した。
 カビは常在菌扱いのために一般的なリコール保険では補償対象外となるとし、「小林製薬の件は、生産物品質保証では補償対象外になる可能性が高い」とした。ただし、PL保険の特約において、事故が起きた原因がPL保険で補償されるリコールに関する内容のものであれば、今回の事象に関して補償対象になるというのが実際の状況だと説明した。

 また、PL保険に付随する特約の場合、保険加入者の商流によっても補償内容が変わると説明した。
 食品や化粧品を販売する企業は委託工場で製造しているケースが多いため、「委託工場が保険に入っているから安心という考えが多いが、不法行為による賠償請求の可能性がある」と注意点を挙げた。購入者は工場や販売者のどちらにも訴えることができ、共同不法行為として分かりやすい方を訴えることができるという。

治療費、リコール告知なども保険でカバー

 治療費は「生産物品質補償」ではなく、生産物に起因する賠償リスクを保証する「国内賠償」で支払うことが可能とした。異物混入が判明した場合、次に行わなければならないのはリコールの告知やホームページへの告知、新聞への告知、当局への報告などだが、これらの出費に関するコンサルティングも保険でカバーできると説明した。
 同氏はこの他にも、具体的な補償の中身や保険の特徴について詳しく説明した。

 また、医薬品業界で運用されているような公的な被害救済制度についても言及。「法改正や救済法設立には時間と難しさが伴う。業界団体向けの専用保険は設計が難しい」としながらも、「業界団体を通じて保険に加入する仕組みを作ることが重要で、団体がまとまれば、業界団体と大手損保会社との連携による被害救済保険の設立も実現可能」と述べた。

 消費者教育の可能性にも話が及んだ。
 「金融リテラシーの高まりから、生命保険会社などは商業施設などで啓蒙活動を行っている。健康食品業界がまとまれば、そういった教育の場を活用し、自主的にボランティアによる啓発啓蒙が可能となるのではないか」と業界の団結が前提だとした。

(冒頭の写真:髙芝元講師)

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