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機能性表示食品は始まってさえいない 「巡る検討会」座長、中川丈久氏に聞く

 小林製薬「紅麹サプリ」事件を受け、機能性表示食品制度を見直すために消費者庁が有識者を集めて開催した「機能性表示食品を巡る検討会」。座長を務めた中川丈久・神戸大学大学院法学研究科教授(=写真)は、この制度は「まだ始まってさえいない」と語る。行政法を専門とする法学者(法律家)だからこそ見える機能性表示食品制度が抱えてきた課題と、検討会の提言の意図を尋ねた。(聞き手・文:石川太郎)

最初に受けた印象、「入り口」しかない

──中川さんは検討会の第2回(4月24日)の終盤、「これでよく制度が回るなと不思議に思う」と発言しました。「これで」とはどういうことですか?

中川 法律の専門家として率直な感想を述べたまでです。機能性表示食品は食品表示法の規定に基づく内閣府令で定義付けられています。この内閣府令とは「食品表示基準」のことです。法律の細部を、内閣府令などで規定すること自体に何も問題はありません。ですが、食品表示基準を初めて読んだときにとても驚きました。「届出しか定めてないじゃないか」と。

 普通、届出だけで制度を動かすことは出来ません。機能性表示食品は届出者が自ら有効性などを確認して消費者庁に届け出るものですが、届け出た後にいろいろ判明したときにどうするかに関する規定が府令に何も書かれていないのです。届け出た内容が虚偽であった場合、事故が起きてしまった場合などに関する定めがない。言うなれば、制度の入り口を作っただけという印象を受けました。このような制度は見たことがない。入り口しか定めていないのにこれまでよく制度を回せてきたな、というのがこの制度に対する最初の率直な感想でした。

──一方で、ガイドラインはとても分厚いものになっています。

中川 法令に届出しかないからそうなったのだと思います。おそらく、制度の運営を始めた消費者庁はすぐに危機感を抱いたのではないでしょうか。そうした危機感が、ガイドラインの分厚さに表れているように感じます。行政は、制度を運用していくために何が必要なのかを理解しています。実際、ガイドラインには、実務的なルールがしっかり書き込まれています。

 ただ、ガイドラインは通知であって、法律でも府令でもありません。私たち法律の業界では「委任立法」と呼ぶのですが、法律は大枠だけ定めて、細部については法律に書かず、国会が行政に委任して立法させることが一般的にあります。「府令」や「省令」などと呼ばれるものが委任立法です。府令や省令などがさらに再委任することもあります。法律と府令その他の委任立法をあわせて「法令」と呼びます。すべて法的拘束力があります。一方で、通知は法令ではありません。法令が規定しないことを通知に書いたところで、それは事業者に対する行政からのお願いに過ぎません。「お願いベース」であって、法的義務ではありません。

(この続きは会員のみお読みいただけます。残り約5,200文字。続きは「会員ページ」の「月刊誌閲覧」内「Wellness Monthly Report」2024年7月号(73号)の特集「機能性表示制度とサプリの行方」から)

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