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機能性表示食品『駿楽』の広告(後)

<取り締まり強化が喫緊の課題に>

【解説】

 消費者ネットおかやまが問題視したのは山陽新聞に掲載された広告だが、直近の事例として、今年4月16日付の日本農業新聞に掲載された機能性表示食品『駿楽』の新聞広告を紹介する。上段部分が記事風の広告、下段部分が一般的な広告となっている。

 上段の文中には、「右ひざに衝撃…!立ち上がるのも恐る恐る」の記載がある。体験談として78歳の野菜農家の声を紹介。「息子達は、ひざが専門のところを探してきては車で連れてってくれました。でも、何処へ通っても結局は“年齢のせい”と一括りにされているとしか…」、「畑の中を歩いて移動するだけで骨が折れます。ひざが震えてしまい、立っているのもつらい(略)」などの表示が見られる。

 また、77歳のレタス農家の体験談として、「コンバインに乗るのも大騒動。左ひざを曲げて座れない。涙が出たもん(略)」という声を紹介している。

 このように、立っているのもつらい人や、膝を曲げて座ることができない人でも、サプリメントの摂取によって、膝の悩みが解消されたと説明している。

 さらに下段の広告では、「『あれ?杖を買ってたはずじゃ…』つらそうだった80代が畑に復帰!」、「匙を投げられた農家のひざを救う!」、「億劫だった草刈りもスイスイらくらく!」、「ひざ関節の曲げ伸ばしが自由自在!」などの表示がある。

 根拠論文の被験者と、広告に登場する人たちの症状には乖離が感じられる。この問題は(株)元気堂本舗の広告だけに限らず、多くの届出企業に共通している。機能性表示食品の届出では、PICO、主要アウトカム、機能性文言を一致させることが必須となる。しかし、届出の公表後の広告では、この点が崩れる傾向にある。

 前述した広告の場合、杖を必要とする人や専門家から匙を投げられた人でも、あたかもサプリメントを摂取すれば悩みが解消され、自由自在に活動できるようになると誤認させる恐れがあると言える。

 機能性表示食品制度は科学的根拠に基づいた機能性について、届出の範囲内ならば表示できる。しかし、現状を見ると、届け出た機能性文言を超えるような広告も少なくない。いわゆる健康食品が抱える広告の問題が、そのまま機能性表示食品へスライドしただけである。行き過ぎた広告が横行すれば、機能性表示食品制度の信頼を失うだけでなく、消費者利益を損なうことになる。

 本来指導する立場にある業界団体では、「事業者は常に自分の出している広告は大丈夫かと不安にさらされている」とし、逆に取り締まりの緩和を求めるという消費者利益を軽視した姿勢を示す。また、業界団体自らが、研究レビューで採択した1報のグラフの使用を認めるなど、科学と向き合っていないことも問題視される。機能性表示食品の広告の健全化へ向けて、業界団体はもはや機能していないようだ。

 機能性表示食品の行き過ぎた広告は消費者利益を損なう。広告を信じて購入した消費者は経済的被害者となる。このため、いわゆる健康食品の広告と同様に、機能性表示食品の広告の行政による取り締まり強化が喫緊の課題に浮上している。同時に、消費者利益を守るために、適格消費者団体による差し止め請求活動や、特定適格消費者団体による財産的被害回復活動の推進が期待される。

(了)

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