機能性表示食品、認知度低下なぜ? 「知っている」、20年度20.7%が21年度18.1%に
食品表示に対する消費者ニーズの把握などを目的に消費者庁が毎年度実施している、食品表示に関する消費者意向調査の最新結果で、保健機能食品の認知度が前回調査から減少したことに注目する見方が上がっている。特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品のほか、届出件数が5,000件を超え、販売品目数も増え、接する機会が増えているはずの機能性表示食品についても認知度が低下。「理由が分からない」と消費者庁関係者も首を傾げつつ、さらなる普及啓発の必要性を指摘する。
保健機能食品全般で認知度が低下
食品表示に関する消費者意向調査の最新(2021年度)結果報告書は、同庁が先月24日に公表した。それによると、保健機能食品について「どのようなものか知っている」と答えた人の割合は14.5%。一方、前回20年度調査では18.4%だったため、3.9ポイント低下した。
また、保健機能食品のうちトクホ、栄養機能食品、機能性表示食品それぞれについて「どのようなものか知っている」と答えた人の割合も20年度調査から減少。トクホは20年度30.7%が21年度は27%となり、3.7ポイント低下。栄養機能食品は16.5%から14.2%と2.3ポイント、機能性表示食品は20.7%から18.1%と2.6ポイントそれぞれ低下した。「聞いたことはあるが、どのようなものか知らない」と答えた人の割合も全体的に減少した。
食品表示に関する消費者意向調査は、全国の満15歳以上の一般消費者を対象にしたもの。調査手法はインターネットを利用したアンケート調査で、有効回答から1万サンプルを無作為に抽出し、結果を取りまとめている。
届出件数、流通量とも増加 「低下の理由よく分からない」
この調査結果について、消費者庁食品表示企画課保健表示室の蟹江誠室長は今月7日、医療経済研究・社会保険福祉協会(社福協)がオンライン開催した「健康食品フォーラム」で講演した中で、「特に機能性表示食品は、届出件数が増え、流通量もかなり増えていると思われるが、なぜ(消費者認知度が)下がっているのか。理由がよく分からない」と困惑。「さらに普及啓発に力を入れていかなければならない状況。どうやって認知度を上げていくか。難しいことではあるが、我われとしても大きな課題の1つと捉えている」と述べ、消費者基本計画にも定められている保健機能食品の普及啓発や理解促進を進める必要性を指摘した。
21年度の消費者意向調査では、保健機能食品の摂取経験に関しても、全体的に低下傾向が見られた。機能性表示食品を「現在摂取している」と答えた人の割合は14.9%と、20年度の16.6%から1.7ポイント低下。トクホも19.4%から16.3%に、栄養機能食品に関しても13.4%から11.5%にそれぞれ減少した。
【石川 太郎】
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21年度食品表示に関する消費者意向調査 機能性表示食品の認知度は?