機能性表示食品、安全性「緊急点検」実施へ 自見消費者担当相が指示、小林紅麹問題「深刻な事案」
消費者庁が機能性表示食品の安全性に関する緊急点検に乗り出す。小林製薬㈱(大阪市中央区、小林章浩社長)が販売する機能性表示食品との関連が疑われる腎疾患の健康被害が生じたことに伴う措置。他にも健康被害が生じていないかなどを調査するため、機能性表示食品の届出者に対して確認と報告を文書で求める。全ての届出が緊急点検の対象とされる見通し。
自見英子消費者・食品安全担当相が26日午後に行った会見で明らかにした。緊急点検は自らが消費者庁へ指示。「機能性表示食品の安全性そのものに大きな疑念を抱かせる深刻な事案」。担当相は今回の問題をそう捉える。
自見担当相は会見で、小林製薬が26日付で、健康被害が疑われる機能性表示食品『コレステヘルプ』をはじめ関連製品を含む届出8件を撤回したことも明らかにした。同庁が22日付で同社に要請した、安全性に関する科学的根拠の再検証については、結果報告を引き続き求める。期限は来月5日。小林製薬は現在も健康被害の原因究明を進めている。
厚労省、薬食審の調査会を今週中に開催へ
厚生労働省と消費者庁は26日夕、小林製薬の担当者に対するヒアリングを合同で実施した。
厚労省は、今週を目途に、機能性表示食品『コレステヘルプ』の他、同社のグループ会社が原材料供給していた小林製薬製の紅麹を使用している製品への対応を判断するため、有識者で構成する薬事・食品衛生審議会の調査会を開く予定だ。
同製品との関連が疑われる健康被害を同省が認知したのは、同社が公表した22日。同社を管轄する大阪市から第一報を受け、同日のうちに同市へ調査を依頼した。その上で、各都道府県に対し、過去の健康被害相談を確認するよう要請。該当事例を確認した場合は、今月13日発出した通知「いわゆる『健康食品』・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領」(新・平成14年通知)に基づき、厚労省への報告などの対応を求めている。
また同省は、(公財)日本医師会(松本吉郎会長)に調査協力を要請する事務連絡を25日付で発出している。同製品との関連が疑われる健康被害事例を管轄の保健所に報告するとともに、保健所の調査に協力するよう求めた。
【石川太郎】
(冒頭の画像:自見消費者・食品安全担当相。23年9月撮影)
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