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小林問題、林芳正官房長官が言及 問題を受け、健康食品産業協議会が声明を発表

 小林製薬㈱(大阪市中央区、小林章浩社長)の紅麹関連商品の自主回収について、政府も乗り出した。林芳正官房長官はきのう25日の記者会見で、「健康被害情報があれば、報告するよう依頼するとともに原因の究明、適切な自主回収の実施などの健康被害の拡大防止を図っている」と述べた。
 先週金曜日に行われた小林製薬の記者会見から被害者は一気に6人から26人に拡大、当社の取材ではノーコメントだった原料の販売量についてもその詳細を明らかにした同社だが、同問題の影響は瞬く間に広がり、とうとう社会問題化した。

 これを受けて(一社)健康食品産業協議会(橋本正史会長)は25日、「紅麹関連商品の健康被害について」とする声明を会長の名前で出した。全文は以下のとおり。

 「3月22日付の報道発表において、当協議会の会員企業である小林製薬社の紅麹関連商品を摂取された方の中で、腎疾患等が発生したとの報告がありました。
 まずは今回健康被害を受けられた方々へは、心よりお見舞いを申し上げます。
 また業界団体として、今回健康被害が起きてしまったという事実に対して、深く重く受け止め、さらなる啓発を行っていくとともに、健康食品の製造および販売に携わっている全ての事業者におかれましては、改めて製品の品質、安全性の確保が十分であるか御確認のほどお願い申し上げます。
 機能性表示食品は2015 年からスタートし、事業者の責任において「安全性」、「品質」、「有効性」について確認したものを消費者庁に届出をすることによって販売が出来るというものでございます。制度開始より現在まで届出数も7,000 件を超え、保健機能食品制度の中でも重要な食品群として認知され、多くの方々にご利用いただいております。
 この機能性表示食品も含めた健康食品は、健康維持を目的として利用者の皆様が安心して摂取して頂けることが何よりも大切です。事業者の皆さまにおかれましては、今一度、「安全・安心」を十分ご考慮し、販売活動をして頂きますことをお願い申し上げます。
 また、正会員(団体)におかれましては、所属事業者様への周知のほど、よろしくお願い申し上げます」

以上

【解説】
 今回の声明は健康食品産業協議会の正会員(団体)、正会員(事業者)、賛助会員向けに発せられたもののため、「健康食品の製造および販売に携わっている全ての事業者」(声明文中)に届くことはない。同協議会の公式サイトを確認したところ、正会員74(事業者、正会員(団体)5団体、賛助会員27事業者・団体の合わせて106事業者・団体に過ぎない。しかもホームページの「お知らせ(新着情報)」に案内は見当たらない。会員企業にメールで配信しただけのようである。
 また、小林製薬を会員とする(公財)日本健康・栄養食品協会(矢島鉄也理事長)や(公社)日本通信販売協会(粟野光章会長)は編集部が確認するかぎり声明を出していない(26日午前8時現在)。

 健康食品業界の特徴として、業界団体が多すぎるという特異性(弊害)が古くから指摘されてきた。それだけに、業界団体は横の連携を図り、こういう時は一般メディアも含めた記者会見を開催するとか、もっと効果的な情報発信の機会を設けるなどし、そのあり方を見直した方がよい。
 過去にも、定期的に実施している行政との情報交換会における重要な情報が事業者に行き渡らなかったことがある。「由らしむべし知らしむべからず」ではいけない。

 小林製薬の問題を受け、機能性表示食品に対する風当たりはますます強くなる。というより、機能性表示食品包囲網は狭まるだろう。明日にでもまた大きな出来事が起きないとも限らない。エビデンスはもとより、表示、品質、制度全般において、業界が一丸となって真剣に取り組むべき時が到来していることを知るべきだろう。

 きのう各局で報道された情報番組では、トップの扱いで同問題が取り扱われた。報道ステーションやNスタでは、今朝の全国紙にもコメントを寄せている当社学術顧問の唐木英明東京大学名誉教授も出演し、キャスターの質問に答えた。紅麹の特徴やその働きについて解説した上で、サプリメントを摂取している消費者に対するアドバイスも求められた。
 唐木氏は、サプリメントは長い間健康被害を生じることなく摂取されてきた。今年、あるロットのサプリメントを摂取した人だけに腎機能障害が現れた。これまでに想定できなかったことが何らかの理由で起きたということなので、「(該当ロット以外について)今まで飲んでいた人が心配することはない」と説明している。原因については、「色々な可能性があるが今のところ分からない」と答えている。健康食品には定義が存在しない。海外に比べて、それゆえに起きている問題も数多い。

 受託企業の中には、自主回収を急ぐべきかどうか、迷っている事業者もあるようだ。小林製薬が損害をどこまで保証してくれるのか、明確になってないことも原因の1つだ。こういう目の前の問題をはじめ、将来的な法整備に向けた取り組みに対しても、むしろこれからが業界団体の腕の見せどころではないか。その点を肝に銘じてほしいものである。

【田代 宏】

(冒頭の写真:「林官房長官会見」FNNプライムオンラインより、下の写真:「唐木東大名誉教授」Nスタより)

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