機能性表示制度見直しのポイントは? 「巡る検討会」構成員、宗林さおり氏に聞く
小林製薬の「紅麹サプリメント」による健康被害の広がりを受け、消費者庁は4月から5月にかけて機能性表示食品制度の見直しに向けた検討会を開催した。検討会で委員を務めた岐阜医療科学大学薬学部の宗林さおり教授に制度見直しのポイントについて聞いた。(聞き手・文;田代 宏)
最終工場にGMP義務化、原材料自主点検は告示化
――「機能性表示食品を巡る検討会」では健康被害情報の報告と健康食品GMPの義務化が規定されました。ただ、今のところ運用面で不透明な点が残されています。
宗林 政府の方針でわずか1カ月余りで結論を出さなければならないというとてもタイトな検討会でした。それだけに今回は、安全性に焦点を絞った検討会になりました。
特に皆さんがよくご存知のとおり、小林製薬の紅麹サプリの問題では、健康被害報告が遅れたということです。1月に医師の報告が上がってから3月まで、保健所にも行政機関にも知らせることなく、自分たちで原因究明を図りながら出荷を続けていた。1月に販売を停止していれば被害者はもっと少なかったのではないかという指摘もあります。
また、つい最近にこれまで死亡者数が5人とずっと同じ数でしたが、厚労省が確認したところ、因果関係は未確定ですが、実は76人も死亡の申し出があったということが分かりました。これを報告していなかったことも会社の体質として信じがたいものがありますね。そのような意味で、健康被害報告の仕組みをもっとしっかりしなくてはならない。それから機能性成分だけではなく、他に何らかの副生成物が出来ていたり、何かが混入したりしていないか、原材料から最終原材料、最終工場での製剤化、カプセル化までのチェックをどういうふうにすればいいのかというようなことが議論されました。
――第72回消費者委員会「食品表示部会」では、健康食品GMP(以下、GMP)による製造義務がどこからどこまで、誰に対して求められるのかが議論になりました。
宗林 今回は最終工場だけにGMPがかかります。
(この続きは会員のみお読みいただけます。残り約3,894文字。続きは「会員ページ」の「月刊誌閲覧」内「Wellness Monthly Report」2024年7月号(73号)の特集「機能性表示制度とサプリの行方」から)
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