コロナめぐる不当表示対策に4千万
消費者庁が11月下旬に発表した今年度の補正予算案。総額18億円を計上したが、そのうち4,000万円という決して少なくない額を、新型コロナウイルスをめぐる不当表示の取り締まり強化に充てる考えを示した。
新型コロナウイルス感染症に対する効果を不当に標ぼうする健康食品や除菌関連商品などへの行政対応を強化する狙い。担当するのは、景品表示法などの執行を担う消費者庁表示対策課だ。
同庁では、「コロナ禍以降、コロナ便乗商法が拡大し、健康食品等の景品表示法や健康増進法に違反する事案が増大」しているなどと指摘。これまでも、新型コロナ予防効果を標ぼうする健康食品などのインターネット広告を対象にした緊急監視を繰り返し実施、事業者に表示改善を指導してきた経緯がある。
現在、国内の新規感染者数は小康状態を保っている。しかし消費者庁では、今後について、「これまで以上に国民の新型コロナウイルス感染症に対する予防意識は高まると考えられる中で、同ウイルスへの効果を標ぼうする商品の不当表示はより多く発生」する可能性があるなどとして警戒。実際、南アフリカで初めて確認された新たな変異型「オミクロン株」が国内でも流行するようなことがあれば、消費者、生活者の感染予防に向けた意識がふたたび大きく高まることになる。
性能・効果の検証を拡大へ
「新型コロナウイルスに係る不当表示取締りに必要な性能・効果検証事業」。こう名付けた事業に今年度補正予算として4,000万円を充てる考えを消費者庁は示した。
同事業について、消費者庁が取りまとめた今年度補正予算案関連資料によると、新型コロナ関連商品に関する不当表示の調査、行政措置に必須となる「性能・効果の科学的根拠について検証」を行う体制の強化・充実化を図る。具体的には、健康食品について、国立栄研(医薬基盤・健康・栄養研究所)への検証依頼を「拡大」する。
また、健康食品以外の除菌関連商品などに関しては、これまで消費者庁の職員が行っていた試験方法の選定や専門家へのヒアリングなどについて、民間検査機関等に依頼できる体制を整えるとしている。要は、性能・効果に関する科学的根拠を検証できる先に資金を投じることで、合理的根拠のない不当表示だと判断できれば、積極的に行政措置を講じる構えだとみられる。
ただ、同事業の「期待される効果」について消費者庁はこう説明している。
「不当表示による消費者の経済的な被害をより減少させるとともに、確実な効果が得られる商品のみを消費者が安心して購入できるような土壌を形成することを通じて、国民の安全・安心な生活を確保します」
「確実な効果が得られる商品~」の一文が盛り込まれていることに注目したい。
【石川 太郎】