ケミンの機能性表示食品戦略 【機能性表示食品】21年12月期、前期比50%増に
「目」「脳」への関心高まる
ケミン・ジャパン㈱(東京都千代田区、橋本正史社長)は、長年にわたって供給しているルテインのトップメーカーの1社。ルテインを機能性関与成分とした機能性表示食品の約半分をサポートしている。ルテインに関しては、機能性表示食品制度が施行されてから急速に認知度を上げ、今も好調に推移している。特にアジア市場での急成長が目立つ。
同社のマーケティング手法は、単純な原料販売ではない。原料を使用している販社の支援が主な業務で、ルテインの良さを伝えながら、顧客が抱える課題についてその解決策を一緒になって考え、販社が開催する説明会でプレゼンテーションの支援を行う。
市場に多くのルテイン製品が上市されていることから、差別化を図るために商品にケミンのロゴタイプの使用を許可してアピールすることで、他社製品との差別化を図るなどのさまざまな支援活動を行ってきた。その結果、今ではクライアントのレベルも非常に高くなったという。
「サポートした企業の多くが売上を伸ばしている」(橋本社長)とし、それが同社の売上にも跳ね返ってくる。21年12月期は前期比で50%増の見込みとなった。8年目を迎える機能性表示食品市場が拡大を続ける中、「その一部でも自分たちがサポートできたというのはかなり大きな出来事」(同)と同制度のさらなる成長に期待を込める。従来の大口客の売上が好調なのに加え、TVショッピング、薬局ルートやMLMなど多彩な販売チャネルで「目」や「脳」に関する市場へのアプローチが増えているという。
次世代素材「ニューメンティクス」に大きな期待
同社が次の素材として期待するのは、スペアミント由来ロスマリン酸配合ポリフェノール「ニューメンティクス」だ。すでに同成分を機能性関与成分とした商品が消費者庁のホームページで公開されている。
消費者庁のホームページで公開されている機能性は、「同成分には加齢とともに低下する認知機能の一部であるワーキングメモリーを維持する機能が報告されております。 ※ワーキングメモリーとは視覚、聴覚などを介した情報を一時的に保持し、同時に正しく処理する能力です。暗算、話しことばや文章の理解をはじめ、計画的な行動の実行、問題解決などの場面で不可欠なものです」などと表示。
ルテイン同様、専門家によるサポートによってクリニックなどを通じて育ててきた素材で、一昨年、「日本脳サプリメント学会」で取り上げられてからは大手通販会社が医療機関向けの商品として販売している。
その他のラインアップも強力
まだ機能性表示食品対応素材ではないが、ジャガイモ由来成分「スレンデスタ」にも期待する。すでに10年以上前からある素材だが、市場ではウェイトマネジメント素材として一定程度の評価はすでに得ており、機能性表示食品への届出を目指している。
ユーグレナ由来成分「ベータヴィア コンプリート」にも期待する。元々、抗生物質の代替用として家畜の飼料向けに供給されていたが、有効成分1,3βグルカンが多く含まれていることから作用機序や安全性を確認、臨床試験を実施して販売に至ったという。ユーグレナは元々、スーパーフード的に捉えられて市場を伸ばした素材だ。「当社の製品も今のところスーパーフード的な扱いが多いが、できれば免疫系として時間をかけて育てていきたい」という。
昨年来、同社のアジア市場は急拡大している。米国、欧州、アジアパシフィックでほぼ3割ずつを分け合っていたのが「今ではアジアが欧米を抜く勢い」という。原因はさまざまのようだが、「機能性表示食品制度の拡大も1つの要因」と分析。さらに台湾市場が前期比で1割以上の伸びを示したという。
「地域」を軸にした戦略が奏功
韓国では「ルテイン」と「ゼアキサンチン」の複合商材がKFDAに認可された。東南アジアでは新規のパートナーと新たな取り組みを開始した。商品軸で動いてきたこれまでと違い、地域軸で市場拡大を図ろうという戦略的な動きを開始した。昨年、売上1,000億ドルを達成したケミン社は、2048年までに1桁上を目指すための「プラン・ゼロ」プロジェクトをスタートさせている。アジアでの躍進はこれからも止まりそうにない。
<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都千代田区五番町12(本社)
TEL:03-3239-2521
E-mail:Masafumi.Hashimoto@kemin.com
URL: www.keminjapan.co.jp
事業内容:健康
食品と化粧品の原料供給
(冒頭の写真:橋本正史社長)