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エビデンス入門(50)  SPIRIT声明とは

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科講師 竹田 竜嗣

 機能性表示食品の開発を目指して最終製品の臨床試験を実施する場合は、事前に臨床試験の計画を立て、臨床試験の実施前にUMIN-CTRなどの臨床試験登録システムに評価項目や目的、介入方法などを登録する。

 また、別途、臨床試験の計画について倫理委員会で倫理的観点・医学的観点などから計画や評価の妥当性について審査をして、承認をもらう必要がある。計画書に記載する内容については、倫理委員会の規定や医学研究に関連するガイドラインでおおむね決まっているが、記載されている内容については、臨床試験の目的や介入の種類、研究者などによってしばしば異なる。

 臨床試験において、計画書は倫理的観点や質の高い試験を運営していくためにも非常に重要だが、研究者によって記載される事項にばらつきが出る傾向がある。論文などで、ランダム化比較試験の報告を行う際の項目は、CONSORT声明で述べられており、機能性表示食品のガイドラインでも触れられているが、CONSORT声明に記載されている事項全てが立案した計画書に記載されていない場合もある。

 このように、CONSORT声明に沿った報告ができるように、臨床試験プロトコール作成時から計画書に記載すべき内容に関するガイドラインが設定されており、SPIRIT声明(標準的なプロトコール項目:介入試験のための推奨,Standard Protocol Items: Recommendations for Interventional Trials)と呼ばれている。SPIRIT声明2013が最新であり、CONSORT声明と同じ用語で一貫性がある部分が多いため、SPIRIT声明2013を網羅する形でプロトコールを設定することで、試験結果をまとめる際に、CONSORT声明に沿った報告を作成しやすいといった特徴がある。

 また、SPIRIT声明は、チェックリストの形式を取っている。よって、それぞれの項目では、設定された項目の詳細について述べる形である。そのため、試験デザインやアウトカムの設定方法を提供しているわけではない点に注意が必要だ。
 同声明は、33項目がチェックリスト形式で設定されている。例えば、「介入」の項目については4項目に枝分かれし、介入の方法だけでなく、介入プロトコールを遵守させるための方策や遵守をモニタリングするための方策など、実際の試験を運営していく上での管理事項についても詳細に設定できるよう項目が設定されている。

 SPIRIT声明の項目を配慮しながら計画書を作成することで、試験プロトコールの作成に慣れていない研究者への手助けになるほか、試験後に論文などの形で報告をまとめる際に、CONSORT声明に沿った記述が容易にできるといったメリットがある。
 今後、質の高い臨床試験を実施していくには、SPIRIT声明に記載の項目を参考にして計画書を作成することも必要である。

(つづく)

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