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エビデンス入門(2)論文データベース

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科 講師 

竹田 竜嗣 氏 

 今回は、データベースの種類と特徴について述べる。機能性表示食品の届出で、研究レビューの実施をはじめ、機能性関与成分や届け出る食品の食経験、安全性確認試験の結果を検索する際に、論文データベースを用いる機会がある。データベースにはいくつかの種類があり、それぞれの特徴がある。

 目的に応じてデータベースを使い分けることにより、必要な情報を得ることができる。特に、研究レビューで必要な論文を探す場合には、いくつかのデータベースを用いて必要な情報を探し出す必要がある。

 まず、データベースの種類を考える上で重要なことは、言語である。研究レビューでは日本語と外国語(主として英語)のデータベースを検索する機会が多いが、主に用いるものは、日本語データベースでは「医中誌」、外国語データベースでは「PubMed」と考えられる。

 医中誌は、特定非営利活動法人医学中央雑誌刊行会が作成する国内医学論文情報のインターネット検索サービス。国内発行の医学・歯学・薬学・看護学とその関連分野の定期刊行物を検索できる。PubMedは、米国国立医学図書館の国立生物工学情報センター(NCBI)が運営する医学・生物学分野などの学術文献検索サービス。両データベースともに、医学系、生物学系に特化したデータベースであることから、機能性表示食品の研究レビューに適したデータベースと言える。

 このようにある分野に特化したデータベースのほかに、国立情報学研究所が運営するCinii(サイニィ)のように、分野を限定せずに論文、図書・雑誌、博士論文などの学術情報を検索できるデータベース・サービスや、Googleが提供するGoogle scholarのように、学術用途の検索に適した検索エンジンのようなものもある。

 機能性表示食品制度の趣旨に鑑みると、研究レビューでは必要な情報漏れを極力少なくすることが必要で、いくつかのデータベースを用いた検索が必要となる。

 また、データベースには独自の収録基準と時期があるため、機能性表示食品の届出のために臨床試験を実施し、雑誌に掲載されたとしても、掲載までにタイムラグが生じることや、投稿誌がデータベースの収録対象外となっていることもある。

 特に、PubMedに収録されない雑誌が近年増えている。これは、インターネットの発達により、紙媒体を発行しないオンライン雑誌の増加が背景にある。「ハゲタカ出版社」と呼ばれる甘い査読、または実質的に査読なしで論文を掲載する雑誌や出版社が存在する。これらは、著者に高額の掲載料を請求し、オープンアクセス(無料で公開)で運営している。オンライン雑誌の全てがハゲタカ出版社ではないが、論文の質には注意が必要である。

 必要な情報の収集には、公的なデータベースだけでなく、Google scholarのような検索エンジンの検索も必要であり、情報の質は利用する側(検索する側)が判断することになる。 

               
(つづく)

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