THC検出CBD製品、検出濃度は? 残留限度値規定に対して「数10倍」と大幅に超過、福岡県に取材
福岡県内の店舗で販売されていた、グミ形状のCBD(カンナビジオール)関連製品から、法令で規定する残留限度値を超える濃度のTHC(テトラヒドロカンナビノール)が検出された問題(5月26日付け既報)で、同成分の超過濃度が規定の数10倍に達していたことが、17日、福岡県薬務課への取材で分かった。
大麻草に由来するCBD関連製品中のTHC残留濃度値は、PPM(100万分の1)の単位で厳しく規制されている。残留限度値を大幅に上回っていたことで、製品名や社名などの公表につながった可能性がある。
福岡県が今年2月に実施した買上検査の結果、神奈川県横浜市の㈱厚徳が福岡県内の店舗で販売していた『CBD EAST GUMMIES いちご味』から、麻薬及び向精神薬取締法の規定に基づく残農濃度値を超えるTHCが検出。5月23日、県と厚生労働省がそれぞれ発表し、同製品は同法における「麻薬」に該当するなどと指摘していた。
同法の規定に基づくTHC残留限度値は、製品の種類によって異なり、当該製品のようなグミなど菓子類および錠剤などは、1ppm(0.0001%)と規定されている。当該製品のTHC検出濃度について、県薬務課は具体的な数値を明らかにしていない。ただ、取材には「数10倍」と答えており、規定を大幅に上回る「数10ppm」の濃度で検出されていたことになる。残留限度値が最も高く規定されているのは油脂(常温で液体のもの)や粉末だが、それでも10ppmにとどまる。
県薬務課によれば、昨年12月の改正法施行後初のTHC残留濃度値超えCBD関連製品の流通発見につながった買上検査は、指定薬物など「危険ドラッグ製品」の買上検査として実施。CBD関連製品のみを検査対象にしたものではなく、県内の店舗で買い上げた12製品の中に当該製品が含まれていた。「追試(追加試験)の結果、(残留限度値を超えてTHCが含まれることが)はっきりした」という。
今のところ1製品とはいえ、法令で規定する残留限度値を大幅に超えるTHCを含むCBD関連製品の流通が確認された。今後、厚生労働省をはじめとする行政が監視を強める可能性が考えられる。CBD関連製品を取り扱う事業者には、残留するTHCを繰り返し分析するなどの高度な品質管理が求められそうだ。
【石川太郎】
(冒頭の写真:残留限度値を大幅に超えるTHCが含まれていたCBD関連製品。福岡県の報道発表資料から)
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