JCAHFは質問書にどう答えたか？（前） 健康食品GMP認証をめぐりJHNFAとJIHFSの2機関が対談
厚生労働省は7月4日、（一社）日本健康食品認証制度協議会（JCAHF）、（公財）日本健康・栄養食品協会（JHNFA）、（一社）日本健康食品規格協会（JIHFS）の3者を招き、紛糾する健康食品GMP認証機関指定制度問題の鎮静化を試みたが、JCAHF信川理事長の一方的な説明に時間を費やし、会談は不調に終わった。その後、JHNFAとJIHFSの2指定機関はJCAHFに質問書を提出した。一連の経緯について、JHNFAの増山明弘健康食品部長とJIHFSの池田秀子理事長に話を聞いた。（取材日：9月28日、聞き手：ウェルネスニュースグループ田代 宏）
――（編集部）7月4日、厚生労働省における会談の後、JCAHFに対して質問書を送りました。
増山 「（一社）日本健康食品JCAHFの説明に対する質問書」というタイトルで提出しました。
内容は、「事前説明が無かったのはなぜか」、「6月に突然プレスリリースしたのはなぜか」、「収支状況が不明なまま料金を突然上げた意図は何か」、「2021年度分の請求金額に新料金が適用されているのはなぜか」、「健康食品GMPなどの認証事業に関する収支と、それ以外の収支を分けて説明できないか」、「ロゴマークを変更する理由と、関係者に与える影響をどう考えているのか」、「新指定基準の内容には公益性が無く一方的だが、どういう考えか」、「協議会のメンバーは、事業者・消費者・有識者から構成されるものと認識しているが、現在、事業者代表が少なく、公益性が薄れ、バランスが崩れているように見受けられるのはどういう理由によるものか」、「厚労省で説明を受けた際、『マークの統一について何度も議論し、指定機関には受け入れられなかった』との説明があったが、最近、マークの統一に関する議論は行っていない。この点について認識と考えを説明してほしい」、「2021年度の料金・監査までは従来料金で行い、現状を、一旦、白紙として、厚労省を含めて議論をする提案」など、今後の対応も含めて11項目にわたる質問を行いました。
池田 「貴協議会からの基準等改定通知に対する意見並びに質問書」というタイトルで提出しました。
JCAHFは、新たな規定や指定条件などの規約を全て改定し公表しました。その時点で、私たち指定機関が前年度の監査料を支払わず、監査が行われていないという段階で、私たちは指定を取り消されたという位置付けになっているはずです。
増山 そうですね。
池田 そういうバックグラウンドがある中で、JCAHFはGMP認証機関を指定する他にもセミナーを実施したり、企業を認証したり、独自のロゴマークを付与するなど、10項目の事業を定めています。それらについて私たちが納得しがたい点について、大きく4つに分けて質問を提出しています。
1つ目は、JCAHFの業務と第三者認証機関の指定にかかわる仕事をきっちり分けてもらい、GMP認証機関指定にかかる費用がいくらなのかを明確にした上で、新費用の設定をしてもらいたいということ。
2つ目は、今回の指定に関する料金改定の合理的な設定根拠が分からないということです。今の私たちが置かれた状況からすると、改めて指定を受けなければなりません。そうすると、初年度費用として500万円ぐらい必要になります。その他にも費用がかかる可能性がありますので、その合理的根拠がどこにあるのかをお聴きしています。
3つ目として、JCAHFが私たち2団体のGMPマークを認めず、JCAHFの新しい統一マークを使うよう求めていますが、それは妥当ではないと考えると述べています。
4つ目は、10種の事業を実施するにあたり、2つの指定機関に対して勝手にセミナーを実施してはならないなど、さまざまな制約を設けていますが、そういう禁止事項を設けることも妥当ではないと申し上げています。
最後に、健康食品GMP認証というのは営利目的の事業ではなく、健康食品の品質を向上させることを目的に立ち上げた事業であり、財政的にはまだ非常に厳しい状況にあることを認識して頂きたい旨を伝えました。まだ私の個人的な意見ですが、回答がない場合は、この質問書を公開する必要もあると考えています。
増山 私たちとしてもメディアに協力してもらい、現状について包み隠さず全てをお話するつもりです。
タイミングとしては行政との兼ね合いもありますし、他の業界団体などでGMPに関わっている事業者さんとの調整はしたいと考えています。
【文・構成：藤田 勇一】
（冒頭の写真：左から増山明弘氏と池田秀子氏）
