BHNが新事業 EBF開発を支援
素材と最終商品 基礎研究から臨床までサポート
サプリメント・健康食品のOEMおよび原材料販売を手掛けるビーエイチエヌ㈱(東京都千代田区、恩田明広社長、以下BHN)が、2022年からの新事業として、機能性食品のR&D(研究開発)支援サービスを開始した。機能性表示食品の届出に必要な研究レビューを受託するなどといった届出支援サービスを以前から行っていたが、対応領域を大きく広げた。機能性表示食品からサプリメント・健康食品全般まで、原材料、最終商品を問わず、基礎研究から臨床試験までサポートし、一定のエビデンスがある製品の開発・販売に向かう顧客を全面的にサポートする。
新事業のスタートに当たって同社は昨年末までに「EBF(Evidence-Based Functional Food)推進事業部」を新設。本格的な事業展開の開始は今春を予定していたが、さっそく引き合いがあり、「おかげ様で既に複数の案件が走りはじめている」(落谷大輔・EBF推進事業部長)という。
EBF推進事業では、原材料から最終商品まで製品開発を支援する。「支援するのは何も機能性表示食品に限らない。今や〝通行手形〟ともいえるエビデンス(科学的な根拠)のある機能性食品を消費者にお届けできるようにする。それを出口にした製品開発全般を支援する」。BHNの恩田明広社長はこう話す。
素材開発、ゼロベースから支援
原材料の開発支援では、これまでも素材開発を手掛けてきたノウハウを生かし、ゼロベースからの研究開発サポートも請け負う。地方の特産物を機能性食品素材化することなどを想定。有効成分(機能性関与成分)の単離・同定、製法や製品規格の検討・立案、細胞試験など基礎試験から臨床試験までのコーディネートおよび実施支援などを通じ、製品化まで導く。
また、一定のエビデンスはある一方で被験者が病者であるなど、機能性表示食品制度への適合が困難な海外の原材料などについて、制度に則したエビデンスの取得をサポートするなどの取り組みも手掛けたい考えだ。他にも、既存素材のエビデンス拡充など、種々の要望にきめ細やかに応える。
最終商品では、これまで通り機能性表示食品の届出サポート(研究レビューの受託など)を手掛けるほか、新たに、ヘルスクレームで差別化を図ることなどを目的にしたRCT(ランダム化比較試験)のプロトコル設計、被験者の選定、そして実施など、幅広い支援活動を展開していく。
新規参入企業の製品開発をサポート
機能性表示食品以外についても、「特に、新規参入しようとする場合、まずはRCTではなく基礎研究やオープンラベル試験などを行い、実際に有効性があるのかどうか確認したいというニーズが強い。そうした要望にもしっかり応えていく」(恩田社長)といい、最終商品についても基礎研究段階から製品開発をサポートする。
新たにEBF推進事業を開始したことで、同社の事業基盤には、最終製品のOEM、原材料の開発・販売に加え、顧客支援を最大の目的にしたR&Dが追加されることになる。
これにタイ国に構える製造工場を拠点にした海外事業を加えた大きく4事業が「今後のBHNのビジネスドライバーとなる。その中で、素材開発にもつながるEBF推進事業は各ビジネスドライバーを下支えする取り組みになると考えている」と恩田社長は話す。
【石川太郎】
写真:BHNの恩田社長
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