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原材料の品質は開発段階で作り込む 【一丸ファルコス】ツボクサ抽出物に見る国内メーカーの取り組み

 「食経験のあるものが大前提」──天然由来抽出物の製造販売を手がける一丸ファルコス㈱(岐阜県本巣市)の研究開発担当者は、サプリメントなど食品に使用する原材料を開発する際の基本方針をそう語る。そうした前提で開発した原材料は、健康食品GMP認証取得の自社工場で製造する。ただ、その品質を確保する役割は、製造以前の研究開発が担う部分が大きいという。同社が2024年秋に新発売したツボクサ抽出物の品質も、開発過程で作り込んだ。

食経験に加えて安全性試験

 同社の主力事業は、化粧品向け天然由来抽出物の製造販売。その中で、食品向けの原材料の開発、製造も長年行っている。代表的な製品としては、プロテオグリカン含有鮭鼻軟骨抽出物、グルコシルセラミド含有米抽出物、豚プラセンタエキスなどがある。いずれも食経験のある基原材料を活用して開発、製造するものだ。

 同社開発部フードテクノロジー課の高橋達治課長は「素材開発はグローバル企業に採用していただくことを前提に行っている」と話す。そのため、その安全性の検証は、要求事項の多い「世界基準」で行うという。同社独自に開発する食品向け原材料の安全性確認に関しては、細胞試験からヒト試験までを段階的に実施し、食品としてのリスクがないか確かめる。その際、国が示しているサプリの原材料の安全性点検の指針(3.11通知の別添1)を活用するほか、「機能性表示食品制度に対応しようとする素材に関しては過剰摂取試験も必ず行う」(同)。

 基原材料に食経験があるからリスクはないと一概に言うことはできない。「食経験があっても濃縮されたものは違うものだろうという考え方もある。そのため、安全性の確認はフル(細胞試験からヒト試験まで)で行うのが当社の考え方」と高橋氏。ヒトの過剰摂取試験こそこれからだが、同社が2024年秋に発表した新製品のツボクサ(全草)抽出物「ARACA」(アラカ)の安全性も、そうしたステップを踏みながら検証した。

品質の確保、基原材料から

 ARACAの開発には約7年を要した。認知機能への効果が期待できるアーユルヴェーダ植物のスクリーニングを岐阜薬科大学との共同で実施。その結果、インドなどでは「ゴツコラ」と呼ばれるツボクサが最も高い活性を示した。そのため分画を進めたところ、その活性の源である化合物は、アラリアジオールであることを突き止めた。同成分が植物中から見つかったのは2例目、ツボクサとしては初めてだったという。

 ただ、アラリアジオールの安定性には課題もあった。そのため、「製剤化のところで保護する、安定化させるための技術開発が必要だった」(同)。安定化技術の確立や、安全性と安定的な基原材料の確保に時間を要し、それらを構築するために約7年の歳月を費やした。

 抽出方法は確立できた。製造工程も定まった。しかし、それだけでは製品化できない。「製品規格書どおりにアラリアジオールを含有する製品を安定的に製造するためには、それが一定量含まれるツボクサを安定的に調達できるようにする必要があった」(同)。栽培条件が異なると目的成分が含まれない場合があるという。ARACAの開発過程では、基原材料となるツボクサの選定と栽培管理方法の構築も重要なポイントになった。

 そのようにして開発されたARACAの製造工程は、健康食品GMPで管理(施設認証機関=日本健康食品規格協会)する。高橋氏ら研究開発部門で定めた製品基準のとおり製造し、同じく同部門で項目や方法を定めた分析を行い、品質規格に合致しているものを出荷する。そうしたことを全てのロットで行えるようにするためには、基原材料の管理から製造条件や製品規格の設計までを一体的に行う研究開発が求められるということが、ARACAを巡る同社の取り組みから見えてくる。

【石川太郎】

(文中の写真:一丸ファルコス真正工場の外観。同社提供)

<COMPANY INFORMATION>
所在地:岐阜県本巣市浅木318番地1(本社・研究所・真正工場)
TEL:058-320-1030
URL:https://www.ichimaru.co.jp/
事業内容:化粧品原料、健康食品原料および医薬部外品原料の研究開発、製造、販売ならびに輸出入

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