景表法措置命令が違法、取り消しに 糖質カット炊飯器を巡る裁判で
東京地方裁判所は25日、消費者庁が2023年10月に行った景品表示法に基づく措置命令が違法だとして、取り消す判決を下した。裁判所が同法の措置命令を取り消す判決を下すのは、今回が初めて。
同措置命令は、23年10月31日に、糖質カット炊飯器の販売事業者4社に対して、表示が景品表示法に違反しているとして出されたもの。措置命令を下された4社のうちの1社で、『糖質カット炊飯器 LOCABO(ロカボ)』を販売していた㈱forty-four(フォーティーフォー/東京都渋谷区、獅子内善雄社長)が、措置命令の取り消しを求めて提訴していた。
24年8月20日、第1回弁論準備手続開始
裁判は、24年8月20日の第1回弁論準備手続に始まり、第2回(同年10月16日)、第3回(25年2月3日)、第4回(同年4月22日)と続き、同年5月23日に第1回口頭弁論が行われた。そして、今月25日に行われた第2回口頭弁論で判決が下された。
原告は、本件各表示において、糖質カット炊飯では外釜と内釜の二重構造で炊飯することを明記し、本件商品の釜の構造が通常の炊飯を行う場合と異なることを表示している。また、「糖質カット」という表現や糖質が釜に溶出するという説明によって、糖質カット状態による米飯の糖質の量が通常の炊飯と異なることを表示している。
これらのことから、本件各表示は、通常の炊飯機能で炊飯した米飯とは別のタイプの米飯が炊き上がると認識できる表示であると認定するのが適切で、消費者庁長官が、あたかも、同品で炊飯することで通常の炊飯機能で炊飯した米飯と同様の炊き上がりになるという表示がされており、それが景表法違反だと認定したことは誤りであり、本件措置命令は、その前提において重要な事実に誤認があるから、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであって違法だなどと主張していた。
東京地裁の鎌野真敬裁判長は、本件各表示は、「いずれも『本件商品の糖質カット炊飯機能で炊飯することにより、通常の炊飯機能で炊飯した米飯と同様の炊き上がり』となる旨を表示するものではなく、かかる点において、本件商品の品質等が著しく優良である旨を表示するものとは言えない。そうすると、本件各表示については、法7条2項の規定の適用の前提を欠き、同項の規定により法5条1号に該当するとみなすことはできない。したがって、本件措置命令は、本件各表示が同号に該当しないにもかかわらずされたものであるから、違法である」(判決文ママ)とした。
消費者庁はこの件について、「国の主張が認められなかったことは非常に残念。本件について精査して、関係機関と協議し、対応を検討していきたい」(表示対策課)と回答。7月29日時点で、本件について控訴するかどうかは明らかにしていない。
一方、原告側の代理人弁護士は取材に対して、「提訴したその内容が正当に判断されたことに、満足している」と回答した。
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【藤田 勇一】
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