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レプリコンワクチンは安全か?(後) Meiji Seikaファルマ 田前雅也執行役員に聞く

 死亡例と新型コロナワクチンの因果関係について、Meiji Seikaファルマの田前雅也執行役員は「SNS上ではワクチン接種後の死者について誤解や偏見が広まっている」と述べ、誤った情報が一般に広く伝わることに懸念を示した。
 人口動態統計を例示し、「80代の高齢者が1,000人いたら、大体1年間で100人ぐらい死亡している。死因はがんや心筋梗塞などさまざまだが、それがワクチン接種後28日以内だとすれば、死因にかかわりなく、メーカーは国への報告義務がある」と説明。因果関係が調査中であるにもかかわらず、一部の過激な人たちが「〇〇のワクチンを打ったせいで死んだ」とエキセントリックに騒ぐのを遺憾とした。

クローズアップ現代「副反応報告制度」の瑕疵指摘

 確かに、医薬品医療機器等法(薬機法)第68条の10には、「副作用等の報告」として、「当該品目の副作用その他の事由によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生、当該品目の使用によるものと疑われる感染症の発生その他の医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の有効性及び安全性に関する事項で厚生労働省令で定めるものを知つたときは、その旨を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告しなければならない」と定められている。
 「報告」イコール「因果関係」という意味ではなく、報告後に因果関係が否定されるケースもあるが、原則、因果関係の有無にかかわらず報告する義務を負っている。そして、因果関係の有無については、最終的に国の審議会が評価することになっている。「その結果をきっちり受け入れてもらうしかない。疑ってかかれば切りがない」というのが田前氏の主張だ。

 今週9日に放送されたNHK「クローズアップ現代」では、新型コロナワクチンにスポットが当てられた。番組では「副反応疑い報告制度」について、医師から行われる情報の報告システムそのものに課題があることを指摘。それが原因で、約3万7,000件の報告のうち、約2,200件について評価が行われているが、99%以上が評価不能となっている実情を明らかにした。新型コロナワクチンの接種および副反応疑い報告の状況に関する報告が行われる、次回の「副反応検討部会」は来週14日午後4時から開催される。

薬機法の広告規制による縛り

 田前氏は、SNS上の誤情報と薬機法の関係についても言及した。薬機法の広告規制により製薬会社が誤情報や偽情報に対して真っ向から反論できない現状に苦言を呈した。いわゆる「言われっぱなし」というのである。
 
 医薬品などの広告に関しては、薬機法第66条「誇大広告等」において以下の規定が行われている。
① 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
② 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
 
 また、広告に該当するか否かについては、以下の3要件をもって判断するという課長通知が発出されている(平成10年9月29日医薬監第148号都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省医薬安全局監視指導課長通知)。
① 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること。
② 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること。
③ 一般人が認知できる状態であること。
 これらの全てを満たす場合に広告と判断され、薬機法に基づく処罰の対象となる。

 さらに、「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長/薬生監麻発0929 第5号平成29年9月29日)には以下の規定がある。

 厚労省によれば、この場合ワクチンも医療用医薬品と同様の扱いになるとしている。

適正広告基準の見直しを(田前氏)

 田前氏は苦衷を語る。
 「メーカーから直接ワクチンの有効性や安全性に関するメッセージは一切出してはいけないということになっている。SNS上の偽情報・誤情報には、(ワクチンの)リスクが懸念されるみたいな情報も含めて飛び交っている。しかし、私どもはそれを直接否定もできないし反論もできない。メーカーがやると薬機法に違反するということなので、科学に基づいた判断を被接種者の方には行っていただきたいのだが、出せる材料も極めて限定的。私はこれはフェアじゃないと思うし、国民にもバイアスがかかっていて、ますますワクチンに対する忌避感が募る。製薬会社として最も懸念をしているところ」
 彼はあくまで個人的見解として、「適正広告基準を見直す時期が来ているのではないか。エビデンスに基づかない歪曲した情報とか誇大広告が飛び交う恐れがあるというのであれば、一定のガイドラインを作った上で、その範囲にきっちりとはまるものについては、メーカーからも情報発信をして構わないというような規制緩和に期待したい」と踏み込んだ思いを述べた。

 SNS上の誹謗中傷と同じ土俵に立つことができないという田前氏。仮に同氏の発言どおり、適正使用のための情報提供が誇大広告と同じ扱いを受けるのだとすれば、そのような誤情報を排除するためには裁判で争うしか道がなくなるだろう。ただし、当の裁判がターゲットにしたのは原口一博衆議院議員だった。同裁判は今月25日に弁論準備手続きが予定されているが、非公開とされている。

メーカー側の情報発信は薬機法に抵触せず(厚労省)

 田前氏の発言について、改めて厚労省の監視指導・麻薬対策課に確認した。役所の決まり文句である「一般論として」との前提だが、SNS上の誹謗中傷を打ち消すために有効性や安全性の情報を医薬品メーカーが発信することは「薬機法に抵触するものではない」という答えが返ってきた。誤情報や偽情報を打ち消すための正しい情報発信は、顧客誘引性を満たさないという判断だ。一問一答は以下のとおり(⇒つづきは会員専用記事閲覧ページへ)
 田前氏がどこまで踏み込んだ情報発信を想定しているかは不明だが、少なくとも、SNS上で流布された「明らかにおかしいとされる情報」に対しては、これを否定することは問題ないという厚労省の見解が示されたかたちだ。もっとも「偽情報を打ち消す適正な情報」であることが大前提だが、最終的に広告に当たるかどうかは、「中身を個別に精査して、都道府県の薬務課などが総合的に判断することになる」(厚労省)としている。

 
(了)
【田代 宏】

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