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食品基準行政の消費者庁移管、業界への影響は?(前) 「健康食品の法制度化に向かうと良い」

 厚生労働省が所管する食品衛生基準行政が2024年度にも消費者庁へ移管される。感染症対策を強化したい政府方針が背景にある。移管がサプリメント・健康食品業界に及ぼす影響を業界関係者はどう予測しているのか。(一社)日本健康食品規格協会(JIHFS)の池田秀子理事長と、(公財)日本健康・栄養食品協会健康食品部の増山明弘部長に意見交換してもらった。結果、話は大きく膨らんでいった。(聞き手:田代 宏)

――健康食品業界との関わりも深い食品基準審査課の業務を消費者庁に移管するという話があります。

増山 どこまで消費者庁に移管するのかが見えてきません。消費者庁は、消費者向けの表示などについてはプロですが、食品衛生行政はその中身の問題です。

――むしろ消費者庁に移管して、その先の根本の問題でもある健康食品の根拠法の制定などについて動き出す機運はないのでしょうか? 健康食品の定義付けを行うなど、そこまでの動きにつながるきっかけにならないものでしょうか?

池田 私もそれは必要だと思います。健康食品を定義付けする意味は、リスク管理だと思います。米国や欧州、その他の外国では、錠剤・カプセル状などの食品を管理しなくてはならないということで定義付けしています。日本はそれをしたくない、機能性表示のあるなしで分けています。表示があるものが保健機能食品、それ以外は全てその他の食品となっています。そうすると、リスクが両区分に混在してしまい、分けることができません。

 外国が何故、錠剤・カプセル状等の食品を区分するのかというその理由をよく考える必要があると思います。そこには品質管理が重要なポイントになるため、GMPが必要だという論理立てです。「定義がない」ということが、結局GMPが任意ということになり、認証機関の位置づけが曖昧になっていることが、今、健康食品GMP認証マークをめぐってもめている一因でもあるのではないでしょうか。このままでは、今後やっていけないのではないかと思います。

増山 そのとおりだと思います。錠剤・カプセル状のものも食品は食品ですし、健康食品がどこまでの範囲なのかという議論になると思います。形状で決め、錠剤・カプセル状のものをサプリメント法のようなものでひとくくりにする、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品でもサプリメントにヘルスクレームを書くのと、飲料やヨーグルトに書くのとでは違うといった具合に線引きしてしまうかです。そのためには、現在、カテゴリーが医薬品と食品しかありません。医薬品と食品の中間として錠剤・カプセルというカテゴリーを作る必要があると考えます。

 しかしながら、それを嫌がる事業者もいると思います。健康を訴求しているが飲料として販売したい事業者、有効成分は曖昧だが伝統的に健康に良いとされるエキスを抽出し凝縮した錠剤・カプセル状のものを健康食品として販売したい事業者など、立場はさまざまですから、やはり、健康食品の定義のコンセンサスを得て、ルール作りをする必要があると思います。

 1つの考え方として、形状で分けて錠剤・カプセル状のものをサプリメント法で括るというのが一番分かりやすいと思います。ただし、その場合、表示の話は切り離して考える必要があると思います。「あくまでもこういう形状のものを作るのであれば、品質管理をきちんと行ってください、原材料の安全性を確認してください」という具合に法律化するというのも1つの手だと思います。

池田 それがないと、海外から入って来るものに対する規制をすることができません。例えばASEANに出す場合、健康食品GMPの認定証を求められることがありますが、逆にASEANから入って来るものはフリーの状況です。それはとてもおかしな状況です。

増山 一番分かりやすいのがトクホだと考えます。トクホは制度として、有効性や安全性の試験方法が定められています。しかも、最終製品での実施が求められています。ルールに沿った商品にはマークを付けても良いとなっています。しかし、問題なのはその費用と時間です。それに対して機能性表示食品は、時間と費用を少なくした届出制にしましたが、エビデンスの質などが問題になっています。このままでは、全体として健康食品のレベルが下がってしまうことが懸念されます。届出制度にして中小企業や生鮮食品も可能にしましたが、例えば研究レビューが一報でのレビューであったり、健康食品GMPも含めた安全性がおろそかになっているなど課題が出ています。機能性表示食品制度そのものをどうしていくのか、届出制のため、トクホに対して入口が広いことは良いことですが、それをそのままほったらかしにしてはいけません。どこかできちんとチェックし、駄目なものは退場してもらうという仕組みを作っていくべきではないかと思います。そのチェック体制も、有効性だけではありません。心配なのは、品質管理や原料の安全性を原因とする健康被害が出てしまうことですから、そこも含めて、入口を広げた後のチェック体制をきちんと構築してほしいと思います。

(つづく)

(文・構成:藤田勇一)

関連記事:食品基準行政の消費者庁移管、業界への影響は?(後) 「業界抱える課題背景、制度がないことに尽きる」

JIHFS池田氏
JHNFA増山氏

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