「契約書面電子化検討会」議事録公開 消費者庁が公表、次回開催日は未定
電磁的方法による契約書面の提供のあり方を議論している有識者会議「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」(契約書面電子化検討会)の5回目の議事録が22日、消費者庁のホームページで公開された。
前回の議論を受け、「これまでの議論の整理」にさらに修正が加えられたことで、電磁的方法の目的や手段がより明確になった。
修正された「これまでの議論の整理」に対する各委員の意見に対し、消費者庁取引対策課の奥山剛課長(事務局)が回答した。書面中、表現が不明確な点については「ガイドラインで詳細を解説する」とし、修正の余地のない記述に対してはその理由を述べた。
例えば、「事業者の禁止行為」について、正木義久委員が何らかのサービスによって「事業者の利益を消費者に還元することも必要」と主張していた点については、「法的な権利を知らせるために価格面で差が生じるというのはもともとの趣旨になかなか合わない」という理由で却下した。
また、多くの消費者側委員が主張する「事業者による閲覧義務の確認」については、「悪い消費者の存在もあり、もし確認しないとクーリング・オフ期間がずっとスタートしないということになる」とし、今のところ義務付けは行わないとした。
これに対して河上正二座長は、閲覧確認義務をクーリング・オフの起算点と切り離して、受領とか、閲覧の確認義務というかたちで行ってはどうかと提案。事務局との間に以下のやりとりが行われた。
河上座長「義務付けをしてはどうかというご意見はいくつかあったが、そのことによって、クーリングオフの起算点がずれるようなことがあってもまずい。後になったり先になったりしてもまずいというな懸念もあったのだが、ここは切り離したかたちで、閲覧確認義務というものを明示することについてはいかがか?」
事務局「この点だが、書面交付義務の紙の場合とパラレルに考えると難しい。今、郵送で契約書面を送る時に確認義務がないということなので、割とその、強く推奨するところまでは叶うかと思うが、義務付け、かつ、何らかの罰則につながるようなとところは、例えば、指導の対象となるとか、紙にない義務を入れるというのはかなり難しいのではないかと考える」
河上座長「罰則を付けるかどうかはちょっと置いておいて、今、努力義務っていっぱいいろいろとくっついているが、何々するよう努めなければならないというようなことであれば、それほど難しいことではないかなという感じがしながら伺っていた」
事務局「はい。それができるかどうかちょっと考えさせていただきたいと思う」
消費者庁によれば、次回「第6回検討会」の開催日は今のところ未定。議事録で河上座長が発言している「対面にするかどうか」、「報告書に基づいて議論するかどうか」などの開催方法についても調整中としている。
【田代 宏】
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