第三次「健康日本21」、基本方針示す 厚労省、新たな視点に「女性の健康」
厚生労働省は5月31日、健康増進法に基づく告示「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」を改正し公表した。来年4月1日から適用する。改正方針に基づき、国民の健康づくり運動「健康日本21」の第三次を2035年まで進める。
ビジョンに「誰一人取り残さない健康づくり」
厚労省によると、健康日本21(第三次)では、「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」をビジョンに掲げる。ビジョン実現に向けた基本的な方向としては、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」を維持しつつ、健康に対する関心が薄い人も含めた行動変容にアプローチするなどして「誰一人取り残さない健康づくり」を推進する。
これまでの取り組みで、「健康寿命は着実に延伸」してきたという。しかし、健康日本21(第二次)で目標にした、メタボリックシンドローム該当者および予備軍の減少など一部指標は悪化している。そのため、第三次では、個人の行動と健康状態の改善を促すために、ウェアラブルデバイスやアプリなどといったテクノロジー(ICT)の利活用推進をはじめとした「より実効性を持つ取組」に重点を置く。
新たな視点も盛り込む。「女性の健康」に関する項目を新たに立てた。性差に着目した取り組みを進める。「女性の健康週間」についても明記したほか、新たな目標として、骨粗鬆症検診受診率を向上させる目標を設定した。他に、自然に健康になれる環境づくり、具体的なアクションプランの提示、個人の健康情報の見える化・利活用に関する記載の具体化──などといった新たな視点を取り入れた。
合計51項目の目標を設定した。各目標は、「健康(特に健康寿命の延伸や生活習慣病の予防)に関する科学的なエビデンスに基づく」としている。新たな目標としては、骨粗鬆症検診受診率を向上のほかに、「睡眠時間が十分に確保できている者の増加」などを盛り込んだ。睡眠時間が6~9時間、60歳以上については6~8時間の人の割合を60%に引き上げることを目標にする。
【石川太郎】
〇関連資料:改正告示(厚労省ホームページ)
:参考資料(同上)
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