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立憲民主党、唐木氏からヒアリング サプリ法の必要性、サプリ制度の欠陥と対策について

 立憲民主党の「機能性表示食品の見直しに関するプロジェクトチーム(PT)」(座長:大西健介衆議院議員)はきのう8日、衆議院第二議員会館で機能性表示食品制度の課題やサプリメント法の必要性について、東京大学名誉教授で食の信頼向上をめざす会代表の唐木英明氏からヒアリングを実施した。

 大西議員は冒頭のあいさつで、小林製薬の問題はまだ終わっていない。政府が府令、政省令の改正を進める中、「消費者委員会に諮問がなされて、消費者委員会からこれを了とする答申が出されたが、委員会としてはそれだけでは国民に対する責任を果たせないということでサプリメント法が必要であるというような意見書も同時に出されたと聞いている」と説明。今後について、「来るべき臨時国会、あるいはその先の通常国会になるかもしれないが、サプリメント規制についての抜本的な新しい法制をしっかり作っていくということを目指しながら、機能性表示食品の見直しPTでも考えていきたい」と意気込みを語った。

 ヒアリングを終えた唐木氏に手ごたえを聞いた。

 「議員のみなさんは大変勉強されていて、問題の所在を的確に理解している。質問も適切だし、この問題を何とかしようという意気込みが感じられたのが大変うれしかった。ただし、新法の制定までどうやって漕ぎつけるか、皆さんにもなかなか展望がないように見受けられる状況なので、ぜひ頑張ってほしい」と、PTのこれからの活動に期待を込めた。

 唐木氏の話によると、「かつてサプリ形状の食品を禁止した46通知(1971~2000年)をいったん復活させ、例外として一定の条件を満たしたサプリの流通を認めてはどうか」、「機能性表示食品の届出における論文査読や情報公開の仕組みが形骸化しているのではないか」、「サプリ新法は届出制度のままでいいのか? 何らかの基準が必要ではないか」などの質問が相次いだという。
 他にも、(海外の制度と比較した場合)理想的な食経験の基準、46通知が規定する専ら医薬品リストと機能性関与成分の整合性などに関して、踏み込んだ意見や質問が行われたようだ。さらに、機能性表示食品におけるプラセボ対照試験が抱える問題点についても説明を求められたという。

【解説】
 唐木氏の話から、健康食品を取り巻く現状に国会議員が限界を感じているというのがよく分かった。小林製薬が引き起こした紅麹サプリ事故がその引き金となり、サプリメント新法(仮称)の制定に希望を託す動きが広がりつつある。1つには「その他のいわゆる健康食品」による健康被害や誤認表示を減らそうという願いが重なってここまで広がってきた機能性表示食品だが、今度は、同食品による健康被害の広がりがきっかけとなって新たな法令による制度の見直しが進められてきた。とても皮肉なことではあるが、さらに一歩も二歩も進んで、新法の必要性が各方面で説かれ始め、その可能性を探る動きが始まっている。

 もっとも、「サプリ新法へ」という目指す方向は同じだとしても、その動機や期待する目的には異なる思いがあり、それぞれにまだ大きな開きがある。その溝をどう埋めていくのか、埋めることができるのか、これから関係者の力量が試されるところだ。

 唐木氏の話を聞いて気付いたことがある。論文査読について形骸化しているという指摘が出たというが、おそらく、査読論文とハゲタカジャーナルの不透明な関係を疑問視しているものだと思う。
 今年5月、医師らから批判を受けた論文を掲載していた学術誌は、ウェルネスデイリーニュースの取材に対し、レフリーの人数を増やし、投稿規程の改訂も含め、逐次検討し改善を図っていると話している

 しかし、このような弊害を生む要因に、健常者(境界域)を被験者とする食品に対して病者を被験者とする医薬品と同じプラセボ対照試験を強いている現行制度の矛盾が問題視されてきた。矛盾の解消を図るために横行するのが、統計的有意差を意図的に作り出そうとするインチキ行為である。それでも唐木氏は言う。「インチキは論文全体の1~2割に過ぎない」と。

 健康食品に対して厳しい見方をする人の中には、「トクホならばよい」と言う人たちがいる。トクホは許認可制度、機能性表示食品は事業者の自己責任による届出制度という違いがある。しかし唐木氏はまた言う。
 「トクホの申請に使われている論文と、機能性表示食品の届出に使用されている論文に差はない」と。しかし、「トクホの論文は機能性表示食品の届出論文のように公開されていないために、第三者が指摘することは難しい」

 多くの矛盾、見過ごされた盲点などが他にもあると思われる。要は、誰のための制度なのかという原点に立ち返り、行政機関はもとより、科学者・法学者・実務者をはじめとした多くの関係者が知恵を出し合い、新法とそれを取り巻く旧弊に目を向け、現実的な着地点を見出すことが大切ではないか。

【田代 宏】

(冒頭の写真:あいさつする大西議員、文中の写真:右より唐木氏、司会を務めた井坂信彦衆院議員、大西議員)

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