福岡発、エチケットサプリの先頭企業 【九州のヘルスケア産業】グリーンハウス、模索する「新たな一手」
1996年創業の福岡発通販企業グリーンハウス㈱(横尾一浩社長)。青汁から事業をスタートした後、2004年、現在の主力商品である健康食品『楽臭生活』を発売した。およそ20年にわたり消費者に提供され続けている、シャンピニオンエキスが配合された同商品は、国内健康食品市場における「臭いケア(エチケット)」分野を代表する商品の1つに数えられる。新型コロナ禍で手放せなかったマスクを外し、リアルに人と接する機会を生活者が増やしつつある今、同社は主力商品を含めた今後の事業展開をどう考えているのか。
団子状態から抜け出すために
『楽臭生活』を含めて臭いケア商材は「対面商材」だと横尾社長(=写真)は表現する。不快な思いをさせるかもしれない自身の臭いをセルフケアするという商品特性上、他者との対面が、需要の生じる必須条件になるからだ。そのため、人と人が直接対面する機会を著しく失わせ、対面したとしてもマスク着用が常だった新型コロナ禍は「正直、厳しいものがあった」(同)。
だが、ここにきて対面の機会が増えている。マスクを外す人も同様だ。『楽臭生活』の需要も自然と戻っていくと考えられる。しかし横尾社長は楽観視しない。
「確かに、マスクを外しての活動が活発になることで、需要は段階的に回復していくだろう。ただ、完全に回復させるためには新たな一手が必要。需要の回復とともに、コロナ前に増えていた競合商品の需要も回復していくだろうから、団子状態になる。そこから一気に抜け出すために、新たな一手を繰り出す必要がある」
今、新たな一手を模索しているところ。「社内でさまざまな検討を重ねている。消費者の商品選択行動に直接的な影響を与えられるようなカンフル剤を用意できれば、需要をさらに伸ばすことも不可能ではないと考えている」という。
深まるニーズの多様化、ブルーオーシャンどこに
いずれにせよ「一本足打法」は取らない。リスクを分散する必要があるからだ。主力商品だけに頼らない品揃えと、「新たな一手」として第2、第3の柱となる商品の育成を進めており、現在の商品ラインアップには機能性表示食品も複数。ビフィズス菌BB536を機能性関与成分とする『おなか想いのビフィズス菌』をはじめ、アイケア機能を訴求する『濃厚ビルベリー』、睡眠の質を高める『睡眠体験』をラインアップする。今夏にも、空腹時血糖値を下げる旨を表示する新製品を発売する予定だ。各商品をそれぞれ独り立ちさせることで、収益基盤の安定化を図る。
また、事業の多角化を以前から進めている。熊本産大玉赤メロンなど、主に九州で収穫される生鮮食品等の産地直送通販事業も展開。産直の需要はコロナ禍で大きく伸びた。
横尾社長はこう話す。「消費者ニーズの多様化がコロナ禍でさらに進んだ。『マス』という概念はもう成り立たないのではないか。ざっくりとした提案では消費者には全く響かない。緻密に練られた提案が求められている。そうした中で勝ち残るために行き着くところはニッチ化だろう」
考えてみれば、同社が『楽臭生活』を発売した04年当時の臭いケア商材は、今と比べればニッチで、ブルーオーシャンに近かった。それをふたたび見つけだしたいと、横尾社長は語る。
【石川太郎】
『ウェルネスマンスリーレポート』2023年7月10日号(第61号)より転載
<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡市中央区大名2-7-27 シティ18天神ビル2F
TEL:092-738-2828
URL: https://www.greenhouse.ne.jp
事業内容:健康食品・化粧品の通信販売、九州産食品の産直事業
〇【特集】九州のヘルスケア産業 関連記事
:開発から販路支援までオール九州で(前) 九州地域バイオクラスターの取り組み1
:開発から販路支援までオール九州で(後) 九州地域バイオクラスターの取り組み2
:新日本製薬、ヘルスケアを再育成 中計に掲げた100億円規模、どう実現するか
:高麗人参100がスマッシュヒット エバーライフ、「アイノウEX」も好調推移
:えがお、原田CEO就任から1年 動き出した再成長戦略、広げられるか顧客の世代