矢澤一良氏がコラム執筆
国立栄研 第6回「専門家に聞きました」
(国研)医薬基盤・健康・栄養研究所(東京都新宿区)は1日、コラム「専門家に聞きました」の第6弾を発表した。
今回は、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門長の矢澤一良氏が、「『食と栄養による予防医学』の実践について考えてみる」と題して、フレイル世代に対する傾向と対策について論じている。
同氏は、健康寿命を延ばすためには「食と栄養による予防医学がキーポイント」とし、「健康寿命は延びているものの、平均寿命との差が予想以上に縮まらない事の重要性を今一度考えるべき時」と問題提起。健康寿命が延びれば伸びるほど不健康寿命が延びている現実を指摘している。
また、フレイルが高齢者に生じるものとされている一般論に黄信号を点し、より広くフレイルを理解する重要性を主張している。理由として、「子供たちの栄養バランス不良や偏食、過剰なやせ志向の女性の健康の問題、中年のメタリックシンドローム、高齢者のロコモティブシンドローム」について、「オール世代でのフレイル視点が重要」と述べている。
感染性疾患も、発症と重症化のメカニズムに「体内免疫力フレイル」が深く関わっていると説明。個別化医療の概念を「食と栄養による予防医学」に取り込むべきと述べ、これこそセルフケア・セルフメディケーションの概念として、機能性食品の活用を推奨している。一方、その活用が一向に進まない原因として、メディアの発信力、栄養学は不要とする医師の国家資格などを要因の1つに挙げている。
同氏は、かつて民間企業に勤務した経験を持つ研究者。庶民の視点からさまざまな健康食品・機能性食品の研究会を立ち上げ、発展と普及啓発活動に尽力している。