消費者庁、機能性表示食品の事後チェック指針(案)を公表(前)
<事業者のコンプライアンス向上に期待>
消費者庁は16日、機能性表示食品の科学的根拠や広告・表示のあり方を示す「事後チェック指針(案)」を公表した。来月14日までの期間、パブリックコメントを募集する。4月1日に施行する。
指針は、食品表示法・景品表示法・健康増進法による機能性表示食品の事後的規制の透明性を確保することが目的。(1)科学的根拠に関する事項、(2)広告・表示の考え方、(3)届出資料の不備に関する景表法上の取り扱い――の3部構成となっている。
機能性表示食品をめぐり、表示の根拠となる論文などが原因で、届出を撤回するケースがたびたび発生してきた。広告・表示については、届け出た表示の範囲を逸脱した表現が散見され、景表法違反に問われた事案もある。
伊藤明子長官はこの日の定例記者会見で、「事後チェック指針に基づいて事業者の自主管理の推進によるコンプライアンス向上が図られることで、消費者にとってさらに安心できる制度となることを期待している」と述べた。
<有意水準を「p<0.05」と明示>
届出者が適切な届出と広告・表示を行うために、指針(案)では、機能性を担保するための科学的根拠のあり方を説明している。
最終製品を用いた臨床試験と研究レビューに共通する考え方として、リサーチクエスチョン(PICOまたはPECO)に基づく科学的根拠の内容と比べ、表示内容が過大であったり、関係性が認められなかったりする場合には問題になると指摘。
具体例として、主要アウトカムで有意な結果が得られていない場合を挙げた。また、評価項目が複数設定され、一部の評価指標で有意な結果が出たものの、ほかの評価指標で否定された場合で、その関連性が説明されていないケースも該当する。ストレス・関節・目などの分野では、複数の評価指標を設定する試験が多いが、適切な対応が求められる。
限定的な条件下で行った試験であるにも関わらず、表示内容でその条件に言及していないケースも不適切な事例に挙げた。例えば、被験者のBMIが25以上30未満であるのに、もっと太った人にも効果があると誤認させるような表示を指す。
また、主要アウトカムについて、群間比較で統計的有意差が認められていない場合を挙げて、有意水準を「p<0.05」と明示した。届出ガイドラインでは、軽症者データの使用を新たに認めた3領域で有意水準を示していたが、指針(案)により、全ての領域について明確化した。
トータリティー・オブ・エビデンスの観点からは、バイアスリスクを過小評価した論文を基に、肯定的な論文を導き出している場合や、否定的な結論の論文を恣意的に除いてメタ分析した場合などを不適切な事例に挙げた。
(つづく)