消費者委、健康被害実態把握を求める 次期消費者基本計画策定に向けて意見
消費者委員会(鹿野菜穂子委員長=慶應義塾大学大学院法務研究科教授)が機能性表示食品など健康食品による健康被害の実態把握や、安全上の問題が生じた際の対応のあり方を見直すよう求めている。健康被害情報が十分に収集されていないため、健康被害の「実態が明らかになっていない」と指摘している。健康被害問題が足元で生じている機能性表示食品については、安全上の問題が生じた場合の事業者対応のあり方など制度運用上の課題を指摘。制度のあり方についても、「課題を整理し必要な対応を行うべきだ」としている。
「用量に合わせた安全性評価なされていない」
次期消費者基本計画策定に向けた意見に盛り込み、先月末までに公表した。機能性表示食品について、「医療従事者から健康被害の報告が事業者にあったにも関わらず消費者庁に報告がされなかったケースも見られる」とし、早期の原因究明と再発防止策を講じるべきだと意見。「効能をうたう以上、用量に合わせた安全性の評価がなされているべきであるが、事実上機能性表示食品にはそれがない」とも指摘し、製品の安全性確保に向けた対応を求めている。
健康被害情報の公表も望んでいる。機能性表示食品の安全性や機能性の科学的根拠を確保するため」として、事業者に対し、消費者に対する健康被害情報の公表を食品表示法上に義務付けるよう意見。その上で、消費者庁が事後的な監視・監督を行った結果についても、「消費者の商品選択に必要かつ十分な内容が開示されることが望まれる」としている。
消費者委は、機能性表示食品について、消費者に対する情報開示の不足を指摘。届出の範囲を逸脱するなど消費者を誤認させる表示・広告に対して、行政指導や、景品表示法に基づく措置命令を「積極的に行い、消費者にその情報を公開する」よう求めている。また、「不適切な表示があるとして消費者から食品表示法上の申出があり、調査の結果、問題が確認された場合には、調査結果を申出人に対し通知することを内閣総理大臣等に法的に義務付ける」といった手段も提案している。
関連資料:次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見」(消費者委員会ホームページ)
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