機能性食品・原料開発の中国展開における課題とヒントを解説
㈱ウェルネスニュースグループ(東京都港区)は7日、「中国市場に向けた機能性食品・原料開発」セミナーをオンラインで開催した。講師は、㈱スペース(東京都渋谷区)代表取締役社長の春山祥一氏が務めた。
食品・食品原料業界の中国展開の課題として、10都県の輸入規制の長期化、粉ミルクや乳製品系の輸出全面停止などを挙げた。中国ビジネスで必要な要素として春山氏は、「決断と実行のスピードを重視し、現場に決定権をもつ人材を置くこと、インターネットより規制の変化の最先端にいる人達とのヒューマンネットによる確かで最新の情報収集、交渉力や影響力が重要」と話した。
また、日中業界企業の考え方の相違点として、「時間の感覚として、日本企業が複数年で事業体制を構築し、3~5年で黒字化を目指しているのに対して、中国企業はできれば半年以内、せめて1年以内に利益を上げることを目指している」と解説した。
同社の中国食品開発部では、これまでのべ7年にわたる日本企業の健康食品・サプリメント・機能性食品原料の中国輸出・現地製造・商品開発などの診断サポートを、中国業界屈指のパートナーとの連携のもと実施してきた。
春山氏は、「中国では、法規や根拠資料が新旧多岐にわたり集約されておらず、さらに由来原料・製造方法・用途や使用可能量などの確認が必要となり、多くの日本企業にとって中国での使用可否判断が困難だった」と説明。その上で、このほど同社が開発し販売を開始した「中国食品開発 使用可能原料データベース」を紹介した。同データベースは、中国で使用可能な食品原料・成分について、公表されている法規・文献などの根拠資料が存在するもの全ての情報を網羅し、さらに、日本で使用されている機能性食品原料の中国での使用可否を判断し、中国では使用不可となる原料もその根拠とともに盛り込んでいる。
これからの中国ビジネスとして春山氏は、「コロナの影響もあり、インバウンドは当面厳しい。越境ECと並行しながら、アカデミックマーケティングによる一般貿易を進める必要があり、そのためには正攻法の申請ステップを踏まなければならない。日本製品だから売れるという時代は終わり、中国人の健康に貢献するというコンセプトが求められている」と指摘。また、中国側の考え方も変わってきており、「これまでの日本企業の買収ではなく、連携による信頼できるパートナーを求めている」と解説した。