機能性表示食品制度の運用状況~消費者庁・森田室長に聞く
<届出の範囲内で広告・表示を行うように求める>
消費者庁は4月1日、機能性表示食品制度や特定保健用食品(トクホ)制度などを運用する「保健表示室」を新設した。初代室長に就任した森田剛史氏に、機能性表示食品制度の運用状況を聞いた。
――2018年度は過去最高となる690件の届出が公表され、今年度もこれまでのところ、ハイペースで公表されています。その要因は何でしょうか。
森田 今年7月以降については、届出資料が提出されてから、届出に不備がない場合には「50日」を上回らない期間に公表し、不備がある場合には同じ期間内に指摘するという目標を設定しました。現在まで、その目標を達成できています。確かに以前と比べると、公表までにかかる日数が短縮されてきましたが、消費者庁の人員を増やしたわけではありません。恐らく、届出に対する事業者の理解が進んだことや、形式チェックを行う消費者庁でも対応に慣れてきたことが、主な要因ではないでしょうか。そうしたことにより、以前よりも迅速に公表できるようになったと思います。
――再届出(公表済みの製品と風味などが異なる製品の届出)については、提出から公表までに「30日」を上回らないこととされていますが、対応状況をお聞かせください。
森田 これまでのところ、再届出は意外と少なく、今年7月以降を見ますと、届出件数は1件のみです。
――今年3月26日、届出ガイドラインの改正により、「鼻目のアレルギー反応関係」、「中長期的な血清尿酸値関係」、「食後の血清尿酸値の上昇関係」の3領域の臨床試験で、軽症者データの使用が可能となりました。「花粉」という言葉が入った機能性表示も登場していますが、留意点は?
森田 機能性表示食品では医薬品医療機器等法(薬機法)に抵触する表現はできませんので、まずはその点を順守してください。消費者庁では1つひとつの表現の可否を判断しているわけではなく、薬機法上の判断は厚生労働省(厚労省)の所管となります。このため、届出資料が形式的に整っていて公表されたとしても、公表後に薬機法違反と指摘されるケースが出ることは否定できません。届出者には、機能性の表現が薬機法に抵触しないかどうかを確認してほしいと思います。
――広告となると、さらに多くの問題が出てきます。
森田 広告で機能性を強調しようとして、少し表現を強くしたり、届け出た機能性表示の一部を抜き出して表示したりすると、届出の範囲を超えるなど、意味合いが違ってくることがあります。そうした点は取り締まり部署の判断に委ねられます。このため、我々としては届出の範囲内で広告・表示を行うように求めています。
――届出データベースに、「販売中の食品のみ表示する」というチェック欄が設けられました。
森田 若干のタイムラグがあるのかもしれませんが、「販売中」にチェックされている製品は、実際に販売されていると認識してもらってもよいと思います。11月11日時点で「販売中」が1,008件、「休止」が982件、「不明」が282件です。「不明」は6カ月以上、届出者が更新していない場合が該当します。
――「不明」についてですが、さらに長期間にわたって放置した場合、どのように対応するのでしょうか。
森田 現在のところ問題が生じていませんので、特段の対応を考えているわけではありません。本来は事業者が届出情報を更新することになりますが、今後、あまりにも長期間にわたって放置される届出が出てくれば、消費者庁としても確認する必要があると思います。
――ありがとうございました。