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機能性表示食品「事後チェック指針」、消費者庁担当官が解説(中)

【解説】

<変化が生じる点は?>

 事後チェック指針の内容を見る限り、サイエンスに真摯に向き合ってきた事業者にとっては、当然のことと受け止めているだろう。事後チェック指針が必要とされたのは、サイエンスを軽視、または理解不足の事業者が圧倒的に多いことの裏返しと言える。

 事後チェック指針をめぐり、さまざまな見解が聞かれる。そのなかには偏ったものもある。「今後は安心して届出や広告ができる」、「機能性表示食品は聖域となる」。これは食品表示基準、届出ガイドライン、質疑応答集、事後チェック指針、医薬品医療機器等法や景品表示法などの関連法規を全て適切に順守した場合に限った話である。

 28日に開かれたセミナーも、高揚感に満ちた雰囲気だった。しかし、事後チェック指針の公表後に、大きく変わる点は1つもないと理解しなければならない。

 事後チェック指針の公表によって変わるのは、科学的エビデンスと広告に関する予見性が向上すること。業界の第三者機関でも疑義を判断し、その回答を消費者庁が参考とすること。この2点に尽きる。

 事後チェック指針により、届出ガイドラインで曖昧な部分が明確になる。その結果、「プラセボ対照の試験でなかった」などの初歩的ミスによる届出撤回が減少すると予想される。また、広告の留意点を示したことにより、どのような広告が法違反に問われるのかが理解しやすくなる。事後チェック指針の意義は、この点がもっとも大きいと言える。

 ただし、機能性表示食品制度のルールは従来と同じ。事後チェックも、消費者庁食品表示企画課が従来どおりのスタンスで実施する。つまり、本質的な部分は従来と全く変わらない。

 一方、事後チェック指針の公表により、消費者団体などが疑義を出しやすくなると予想される。届出ガイドラインに曖昧な部分があったため、これまで放置されてきた届出についても、指摘しやすくなるというメリットが生じる。適格消費者団体にとっても、機能性表示食品の広告・表示の差し止め請求や訴訟に踏み切りやすくなるだろう。そうした面も含めて、事後チェック指針の公表は有意義と言える。

 業界が設置する第三者機関(アカデミアで組織)が、疑義に対して意見を出すという取り組みが予定されている。実現すれば、科学的知見を持たない小規模事業者も、消費者庁の指摘に対して反論しやすくなる。また、消費者庁にとっては、業界が自らの襟を正すために第三者機関を適切に運営すれば、行政のリソースをほかの業務に充てることが可能となる。

(つづく)

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