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東京証券取引所グロース市場へ上場 【通信販売業界の最新動向】売れるネット広告社、加藤公一レオ社長に聞く

 加藤公一レオ氏が代表を務める売れるネット広告社は、2,500回以上の【A/Bテスト】に基づくノウハウ“最強の売れるノウハウ®”を武器に、日本全国のさまざまな通販会社を成功に導いている。昨年10月23日、創業から13年目にして東京証券取引所グロース市場に新規上場を果たした。これまでの13年と今後の展望について話を聞いた。

堅実経営から次のステップへ、上場を機に新たな挑戦も視野に

――まずは新規上場おめでとうございます。苦労された点な度がありましたら教えてください。

加藤 ありがとうございます。準備から4年、想像以上に大変でした。制度と言うより受験生気分でいなければならないというのがつらかったです。試験を受けては合否発表を待ち、合格したらまた次の試験へと、出願から始まり1次試験、2次・3次試験・・・といった具合です。しかも合格率はかなり低い試験ですから、とても大変でした。無事に上場できて、ひとまずはほっとしているというのが本音です。
 上場するにあたり、大きなポイントが3つありました。まず1つが会計基準です。監査法人を入れ、会計基準をスピーディーかつ正確に提出する必要がありました。それからガバナンス。いわゆる過重労働やパワハラ、セクハラのないコンプライアンスの順守。そしてもう1つが予実(予算と実績)です。1年間の予算を決め、それを100%計画通りに実行するということです。これらをバランスよく整えることができなければ上場することはできないということです。
 私自身、この会社を立ち上げる前、会社員として12年間勤めましたので、会社として最低限、経理などの事務部門の人材は配置しておりましたが、仕事の進行状況によっては徹夜もあり、必要に応じてお金も使うといった具合に、正直言って経営に関してはとにかく自由にやっていくという方針でした。予算という概念もありませんし、決算はあっても報告先はありませんでしたので、言葉は悪いですが稼げるだけ稼ぐ、いわゆる「いけいけ」の状態でした。
 しかし上場となるとそうはいきません。先ほどお話しました通り、徹夜などの過重労働も予算を無視した売上計上もできません。残業時間を既定の範囲内に収めつつ、コンプライアンスを重視した上で計画通りの売上を作らなければならない。こういったルールに則った経営への方針転換が大変でした。
 上場を目指し申請する3年前から体制を整えていかなければなりませんので、最初に言った「4年かかった」というのはそういう意味です。

――これからは顧客への責任に加えて、株主への責任も果たさなければなりません。その辺り、どのように考えていますか。

加藤 株主に対する責任とは、まず重要なのがしっかりと売上・利益を拡大していくことだと思っています。IR活動として外部に発信することも必要かもしれませんが、私としてはそれは単に化粧をするようなもので本質ではないと考えています。やはり株主が求めるのは計画通りに売上をつくり、利益を増やし会社が着実に成長していくこと、これが本質だと思っています。
 これまでは、クライアントである通販会社様を成功させて当社としての売上を上げるということに注力してきましたが、これからはそれは前提として、その売上を計画通りに達成させていかなければなりません。毎年、前年比120~130%で売上を安定的に拡大していくことが、まず第1に株主に対する責任だと考えます。

――これまで順調に業績を伸ばしてきました。何故、あえて上場をしようを考えたのですか。

加藤 理由は2つです。1つは、当社の社員の平均年齢が30歳で、毎年のように新卒社員が5・6人入社してきますが、まず考えたのが、少なくとも彼らが定年するまでは会社を存続させなければならないということ。「100年後も続く会社に」と考えた時に、上場か大手企業への売却、自身の子どもや孫への継承しかない、それならば上場だと考えました。
 そしてもう1つが、次のステップへの挑戦です。これまで当社は、常に前年比、約120%増で推移してきました。「売れるD2Cつくーる」というランディングページ(LP)に特化したクラウドサービスや、「最強の売れるメディアプラットフォーム」というASPを提供しています。毎月、あるいは毎年安定した売上を上げることはできています。その背景には、私個人の話になりますが、会社経営をしていた父が会社を倒産させ、社員やその家族を路頭に迷わせてしまったという過去があります。それを反面教師に、私は堅実経営を意識し、そのかいあって過去13年間、会社は無借金、常に黒字で経営することができました。


 こうした堅実な経営はもちろん大切ですが、その反面、前年比2・3倍の売上を上げる、いわゆるブレイクスルーがありませんでした。先ほども言いましたが、上場することである程度の安定感は得ることができます。また、資金調達も容易になります。私自身、夢やハングリー精神はありますので、調達した資金を元手に新たな投資、チャレンジを行い、次のステージへ会社をステップアップさせたい、それが上場を考えた理由です。
 上場を果たした今、海外進出、他業種展開、ネット以外の他媒体への展開、それからM&A、この4つを次の展開として視野に入れています。

――現在、課題とされているのはどのような点でしょうか。

加藤 今のところ、現時点での課題はありませんが、過去には課題を感じています。これまで単品通販の企業様のみをクライアントに、ネット広告のツールを提供するだけという堅実な経営をしてきましたが、チャレンジはしてきませんでした。会社の成長に対する期待感や社員1人ひとりのやりがい、私自身の目標や夢の実現度が薄かったように思います。ひとことで言えば、堅く経営し過ぎたということです。とは言え、着実に成長をし、結果的に上場を果たせた訳ですから、ここまでの結果は成功と言って良いと思います。これまでの堅実経営という基盤と、その堅実経営ゆえの反省点を生かし、これからのさらなる会社の発展につなげたいと思います。

――上場により、優秀な人材の確保が期待できますが。

加藤 当社は主に新卒採用で人材を募集していますが、上場したことで今後、より良い人材が確保できると期待しています。まさに今、会社説明会が始まったばかりですので楽しみです。実際、以前のオフィス(御成門)からこちら(お台場))に22年に移りましたが、こちらに移転しただけで、エントリーが倍以上になりました。新しいオフィスと上場で、さらなるエントリー数の増加があるのではないかと思っています。
 当社のビジネスモデルは、通販会社に対してLP制作や広告出稿の自動化ツールを販売ですので、人数に比例して売り上げが伸びるというわけではありませんが、このツールを1社でも多くの通販会社に提供していくための優秀な営業人材を確保したいと思っています。今現在の従業員数が45人ですので、100人程度までは拡大したいです。その100人で売上100億円を目指します。

――せっかくですので、これから通販ビジネスを展開する、あるいは現在、小規模で展開している通販会社にひとことお願いします。

加藤 コロナ禍で新たに通販事業に参入された事業者も多いと思います。通販ビジネスにはステップがあって、異業種からの新規参入も含め、小規模の通販ビジネスを始める場合、Amazonさんや楽天さんといったモールへの出品・出店からスタートします。そこで売上を伸ばし、さらに事業を拡大させる段階で自社の販売サイトを開設するというのが流れとして考えられます。その自社サイトの開設段階からが当社の出番になる訳ですが、私は常々、自社の通販サイトを展開するにあたって、最初から立派なコーポレートサイトは必要ない、まずは分かりやすく商品が購入できるLPをつくることが先決だと言ってきました。
 おかげさまで、現在、当社のお客様はそのほとんどが名の知れた通販会社です。その大手通販会社にも実践していただいている広告運用のノウハウやLPで、1社でも多くの通販会社を成功に導き、ともに成長し業界の発展に貢献したいと思います。

――ありがとうございました。

【聞き手・文:藤田勇一】

<COMPANY INFORMATION>
所在地
・福岡市早良区百道浜2-3-8 RKB放送会館 4階(福岡オフィス)
・東京都港区台場2-3-1トレードピアお台場 20階(東京オフィス)
TEL:092-834-5520(福岡オフィス)
  :03-6459-0562 (東京オフィス)
URL:https://www.ureru.co.jp
事業内容:ネット通販のネット広告に関するクラウドサービス、コンサルティングの提供

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